研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と主観的症状:アナログおよびデジタル携帯電話ユーザが経験した症状の比較] epidem.

Mobile phone use and subjective symptoms. Comparison of symptoms experienced by users of analogue and digital mobile phones

掲載誌: Occup Med 2001; 51 (1): 25-35

この研究は、携帯電話のGSMユーザとNMT 900ユーザにおいて、携帯電話使用に関わる不定愁訴に違いがあるか否かを、スウェーデンとノルウェーで疫学調査した。作業仮説は、「GSMパルス変調電磁界を用いたデジタルシステム)ユーザの方が、NMT 900(アナログシステム)ユーザより、不定愁訴が多い」と設定した。スウェーデンのGSMユーザ6379人とNMT 900ユーザ5613人、ノルウェーのそれぞれのユーザ2500人を調査に含めた。その結果、種々の症状についての調整オッズ比は、NMT 900ユーザに比べたGSMユーザのリスクは上昇しなかった;すなわち、仮説は反証された;耳の温感については、NMT 900ユーザと比較して、GSMユーザでの有意なリスク低下を観察した;ノルウェーの調査対象集団においては耳の温感、スウェーデンにおいては頭痛および疲労感についても同様の傾向が見られた、と報告している。

研究の目的(著者による)

GSMユーザーはNMTユーザーよりも多くの自己申告の症状携帯電話使用時に経験するという仮説を検証するため、スウェーデン及びノルウェーにおいて横断的研究を実施した。本研究の更なる結果は、publication 9860 に発表している。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 NMTユーザー
集団 2 GSMユーザー
参照集団 3 NMT、通話時間:< 2分/日
集団 4 NMT、通話時間:2-15分/日
集団 5 NMT、通話時間:15-60分/日
集団 6 NMT、通話時間:> 60分/日
参照集団 7 GSM、通話時間:< 2分/日
集団 8 GSM、通話時間:2-15分/日
集団 9 GSM、通話時間:15-60分/日
集団 10 GSM、通話時間:> 60分/日
参照集団 11 NMT、通話件数:< 2回/日
集団 12 NMT、通話件数:2-4回/日
集団 13 NMT、通話件数:> 4回/日
参照集団 14 GSM、通話件数:< 2回/日
集団 15 GSM、通話件数:2-4回/日
集団 16 GSM、通話件数:> 4回/日

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 16,990
参加者 10,631
評価可能 6,392
その他:

NMTユーザー:2778人;GSMユーザー:3614人

統計学的分析方法:

結論(著者による)

NMTユーザーと比較して、GSMユーザーでは自覚症状リスク上昇は認められなかった。NMTユーザーと比較して、GSMユーザーでは耳での温感についてのより低いリスクが認められた。
GSMユーザーはNMTユーザーよりも多くの自己申告の症状携帯電話使用時に経験するという仮説は否定された。

研究助成

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