研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[電磁界は乳がん細胞のエストロゲン受容体補助因子の発現を変化させる] med./bio.

Electromagnetic fields alter the expression of estrogen receptor cofactors in breast cancer cells.

掲載誌: Bioelectromagnetics 2008; 29 (3): 169-176

この研究は、乳がん治療に用いられるタモキシフェンの有効性に電磁界が影響を与えるメカニズムを調べる目的で、50 Hz、1.2 μTの磁界ばく露を受けた乳がん細胞におけるエストロゲン受容体補因子遺伝子発現を、擬似ばく露を受けた細胞のものと比較した。遺伝子アレイ法で分析した結果、いくつかの補因子の異なる発現が示された。そこで、コアクチベーター(SRC-1、AIB1)、コリプレッサー(N-Cor、SMRT)の発現をRT-PCRで定量した結果、ばく露細胞において、2つのコアクチベーターの発現は増加し、2つのコリプレッサーの発現は減少したことが示された。以上から、50 Hz磁界ばく露を受けた乳がん細胞では、コアクチベーターとコリプレッサーの遺伝子発現が逆方向の変化を起こし、タモキシフェンに対する感受性を低下させる可能性が示唆された、と報告している。

研究目的(著者による)

このイン・ビトロ研究では、低周波電磁界ばく露したヒト乳がん細胞におけるエストロゲン受容体補助因子の発現の変化を分析した。

詳細情報

先行研究(publication 1254publication 5621 参照)では、電磁界ばく露した乳がん細胞における選択的エストロゲン受容体調節因子のタモキシフェンの効率低下が認められた。タモキシフェンは乳がん細胞のエストロゲン受容体と結合し、増殖を防ぐので、エストロゲン受容体陽性の乳がん治療に適用される。エストロゲン受容体は補助因子によって改変され、これらの補助因子(活性化補助因子:AIB1、SRC-1、補助抑制因子:N-Cor、SMRT)の遺伝子発現を解明すべきである。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 24 h up to 96 h

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 24 h up to 96 h
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 75 cm long copper tube with a diameter of 30 cm, closed at both ends by a copper plate, copper wire wound round the tube and connected to a signal generator, for stabilization of magnetic field small sensor coil in the center of the tube
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1.2 µT - - - -

Reference articles

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

どちらの活性化補助因子の遺伝子発現も、ばく露した乳がん細胞でより強まったが、2つの補助抑制因子の遺伝子発現は低下した。RNA分析はタンパク質分析で確認した。
観察されたエストロゲン受容体活性化補助因子の発現の上昇、及びエストロゲン受容体補助抑制因子の発現の低下は、電磁界ばく露の際のタモキシフェンの効能の低減を説明し得る。

研究の種別:

研究助成

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