研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ラットの骨の幾何学的及び生体機械的特性に対する長期的な超低周波磁界の影響] med./bio.

The effect of long-term extremely low-frequency magnetic field on geometric and biomechanical properties of rats' bone

掲載誌: Electromagn Biol Med 2010; 29 (1-2): 9-18

この研究は、ラットの骨の幾何学的および生体力学的特性に対する超低周波磁界(ELF-MF)の影響を調べた。30匹のオスのSprague-Dawleyラットを、2つのばく露群と1つの擬似ばく露対照群に分けた(各群n = 10)。2つのばく露群はそれぞれ100 μTおよび500 μTのMFばく露を1日2時間で、10ヶ月間受けた。擬似ばく露対照群はELFを除いてばく露群と同様に扱った。ELF-MFおよび擬似のばく露後、大腿骨シャフトの断面積、大腿骨の長さ、大腿骨皮質の厚さ、骨の極限引張強さ(最大荷重)、変位、剛性、エネルギー吸収能力、弾性率、および靭性など、ラットの骨の幾何学的および生体力学的特性を測定した。その結果、大腿骨シャフトの断面積は、擬似ばく露群および500 μTばく露群に比べ、100 μTばく露群で有意に減少した;最大負荷は、擬似ばく露群に比べ、100 μTおよび500 μTばく露群で増加した;大腿骨皮質厚は、擬似ばく露群に比べ、100 μTおよび500 μTばく露群で有意に減少した;しかし、大腿骨の長さ、骨の変位、剛性、エネルギー吸収能力、弾性率、靭性などの生体力学的エンドポイントについては、各群間での有意差は見られなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

ラットの骨の幾何学的及び生体機械的特性に対する、超低周波磁界によって生じるかも知れない影響を調べること。

詳細情報

ラット30匹を偽ばく露群(n=10)及び2つのばく露群(n=20)の3群に分けた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 2 h/day for 10 months

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 2 h/day for 10 months
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 pair of Helmholtz coils with a diameter of 25 cm and 225 turns of insulated soft copper wire with a diameter of 1 mm; placed horizontally in a 130 cm x 65 cm x 80 cm Faraday cage; coils facing each other with a distance of 25 cm between them
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 100 µT - 測定値 - -
参照 - - 測定値 - I = 0.12 A for B = 100 µT
磁束密度 500 µT - 測定値 - -
参照 - - 測定値 - I = 0.5 A for B = 500 µT

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

このデータは、偽ばく露及び500µT磁界ばく露ラットと比較して、100µT磁界ばく露ラット大腿骨骨幹部の断面積の有意な減少を示している。100µT及び500µTばく露ラットでは偽ばく露ラットと比較して、最大負荷(即ち強度)が増加した。100µT及び500µTばく露ラットでは偽ばく露ラットと比較して、大腿骨皮質厚が減少した。

但し、大腿骨の長さ、エネルギー吸収能力、骨の靱性等、その他の生体機械的パラメータについては、各群間で有意差は見られなかった。

これらの実験は、100µT及び500µT磁界ラットの骨の生体機械的及び幾何学的特性に影響を及ぼし得ることを証明している。

研究の種別:

研究助成

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