研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[米国における携帯電話使用に関連した脳のがんの発生率の傾向] epidem.

Brain cancer incidence trends in relation to cellular telephone use in the United States

掲載誌: Neuro Oncol 2010; 12 (11): 1147-1151

この研究は、SEERプログラム(米国の監視、疫学および最終結果プログラム)で収集されたデータを用いて、米国の脳腫瘍罹患率の時間的傾向を検討した。対数線形モデルにより白人での年次変化率を推定した。その結果、20-29歳群を除き、1992-2006年の傾向は、下向きまたは横ばい状態であった;この20-29歳群では、1992-2006年間に女性では有意な増加傾向が見られ、男性では見られなかった;20-29歳群女性での最近の傾向は、前頭葉腫瘍罹患率の上昇によって起きたものである;携帯電話無線周波放射が高めとなる側頭葉頭頂葉小脳腫瘍に増加が見られないことは明白であった;前頭葉腫瘍罹患率は20-29歳群男性でも上昇していたが、それは女性よりも早い段階から始まっており、携帯電話使用が大幅に普及する前の段階から始まっていた;全体的には、携帯電話使用が脳腫瘍の原因であるという見方を罹患率データは支持していない、などを報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用に関連した脳のがん発生率の時間的傾向を調べるため、米国において調査を実施した。

詳細情報

1977-1991年(コンピュータ断層撮影法磁気共鳴画像法等の診断された症例の増加につながる新たな診断技術の導入)と1992-2006年(携帯電話の爆発的増加)について、傾向を個別に調査した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (標準化発生率比(SIR))

ばく露

ばく露評価

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 38,788
その他:

米国の人口の約10%を本研究でカバーした

統計学的分析方法:

結論(著者による)

全体として、1990年代初頭以降、脳のがん発生率は減少していた。それ以前の期間の発生率は、診断の改善が原因と考えられる。1992年以降に有意な上昇傾向を示した唯一のサブグループは、20-29歳の女性のグループであった。この上昇は主に、携帯電話による高いばく露を受ける脳の部位ではない、前頭葉腫瘍の増加が原因であろう。
著者らは、この発生率データは、携帯電話が脳のがんを生じるという見解に支持を与えていない、と結論付けた。

研究助成

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