研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[子ども及び思春期層の携帯電話使用と脳腫瘍:多拠点の症例対照研究(CEFALO)] epidem.

Mobile phone use and brain tumors in children and adolescents: a multicenter case-control study.

掲載誌: J Natl Cancer Inst 2011; 103 (16): 1264-1276

【背景】子供および若年者は成人に比べ、携帯電話ばく露による健康影響の可能性に対してより脆弱であるかも知れないという仮説が提出されている。この研究では、子供および若年者における携帯電話使用が脳腫瘍リスクと関連するか否かを調査した。【方法】CEFALOは、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、スイスで実施されたマルチ研究センター方式の症例対照研究であり、2004年から2008年の間に脳腫瘍診断された7-19 歳の子供および若年者を全て含めた。脳腫瘍症例群352人(参加率83%)と対照群646人(参加率71%)およびその両親に個人別にインタビューした。対照群の各対象者は住民登録から無作為抽出され、年齢、性別、地理的区域でマッチされた。携帯電話使用について質問し、利用できる場合は携帯電話事業者の記録を分析に含めた。脳腫瘍リスクオッズ比(ORs)とその95%信頼区間(CIs)を条件付きロジスティック回帰モデルを用いて計算した。【結果】携帯電話の規則的使用者が非使用者に比べ、統計学有意性をもって脳腫瘍診断されることが多いらしいことは示されなかった(OR = 1.36;95% CI = 0.92-2.02)。携帯電話を少なくとも5年前に使用開始した子供のリスクは、規則的に使用したことがない子供に比べて高くなかった(OR = 1.26;95% CI = 0.70-2.28)。携帯電話事業者のデータが利用できた調査参加者のサブセットにおいて、脳腫瘍リスク携帯電話加入開始時以降の経過時間に関連したが、使用量には関連しなかった。最も高いばく露量を受ける脳の部位において、脳腫瘍リスク上昇は観察されなかった。【結論】携帯電話の使用量の観点からも、脳腫瘍の部位によっても、ばく露-反応関係は見られなかったことは、因果関係への反証である。主に想起に基づいた後ろ向き研究をさらに行うことが明確化に役立つとは思わない。また、少なくとも大多数の患者についてCT画像、形態学および側性など完全な診断データを収集することを含め、発症率の時間的傾向を監視するため、人口ベースがん登録と綿密に連携することを推奨する。大半の国において子供および若年者の携帯電話使用はごく普通のことになっているので、たとえ小さなリスク上昇でもあれば、将来の発症率の時間的傾向に現れてくるであろう。

研究の目的(著者による)

子ども及び思春期層の携帯電話使用と脳腫瘍の発症リスクとの関連を調査するため、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、スイスにおいて多拠点の症例対照研究(CEFALO)を実施した。

詳細情報

定常的使用は、携帯電話を少なくとも週1回、6か月以上にわたって使用と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 定常的でない携帯電話ユーザー
集団 2 定常的な携帯電話ユーザー
参照集団 3 最初の使用からの期間:定常的でないユーザー
集団 4 最初の使用からの期間: ≤ 3.3年
集団 5 最初の使用からの期間: 3.3 - 5.0年
集団 6 最初の使用からの期間: > 5.0年
参照集団 7 累積加入期間:定常的使用経験なし
集団 8 累積加入期間: ≤ 2.7年
集団 9 累積加入期間: 2.8-4.0年
集団 10 累積加入期間: > 4.0年
参照集団 11 累積通話時間:定常的使用経験なし
集団 12 累積通話時間: ≤ 35時間
集団 13 累積通話時間: 36-144時間
集団 14 累積通話時間: > 144時間
参照集団 15 累積通話件数:定常的使用経験なし
集団 16 累積通話件数: ≤ 936
集団 17 累積通話件数: 937-2638
集団 18 累積通話件数: > 2638
参照集団 19 頭部の近くでのベイビーモニターの使用経験:なし
集団 20 頭部の近くでのベイビーモニターの使用経験:あり
参照集団 21 コードレス電話の使用経験:なし
集団 22 コードレス電話の使用経験:あり
参照集団 23 コードレス電話での累積通話時間:使用経験なし
集団 24 コードレス電話での累積通話時間: ≤ 23時間
集団 25 コードレス電話での累積通話時間: 24-70時間
集団 26 コードレス電話での累積通話時間: > 70時間
集団 27 コードレス電話での累積通話時間: データ欠落
参照集団 28 コードレス電話での累積通話件数:使用経験なし
集団 29 コードレス電話での累積通話件数: ≤ 235
集団 30 コードレス電話での累積通話件数: 236-704
集団 31 コードレス電話での累積通話件数: > 704
集団 32 コードレス電話での累積通話件数: データ欠落

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 423 909
参加者 352 646
参加率 83 % 71 %
統計学的分析方法:

結論(著者による)

症例194人(55%)及び対照329人(51%)が携帯電話を定常的に使用していた。
携帯電話の定常的ユーザーは非ユーザーと比較して、脳腫瘍診断される可能性が統計的に有意に高くなかった(OR 1.36;CI 0.92-2.02)。携帯電話使用を5年以上前に開始した子どもには、定常的に使用したことがない子供と比較して、リスク上昇はなかった(OR 1.26;CI 0.70-2.28)。事業者の記録データが利用可能だった参加者の小さなサブセットでは、脳腫瘍リスク携帯電話加入開始からの経過期間と関連していたが、使用量とは関連していなかった。最も高いばく露量を受ける脳の部位についての脳腫瘍リスク上昇は認められなかった。この結果は、脳腫瘍リスクと頭部の近くでのベイビーモニターの使用ならびに子どものコードレス電話使用との関連を示さなかった。
著者らは、携帯電話の使用量または脳腫瘍の局在性の両方についてばく露‐反応関係がないことは、因果関係に対する反論である、と結論付けている。

研究助成

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