研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用とがんリスク:デンマークの全国コホートの更新] epidem.

Cellular telephone use and cancer risk: update of a nationwide Danish cohort

掲載誌: J Natl Cancer Inst 2006; 98 (23): 1707-1713

【背景】携帯電話の広範な使用は、健康悪影響可能性についての懸念を高めている。本研究の目的は、最長で21年間追跡した、デンマークの携帯電話使用者におけるがんリスクの調査である。【方法】420, 095人の全国的コホートについての長期フォローアップ研究である。これらの人は、最初の携帯電話加入を1982年から1995年の間にしており、2002年1年間のがん発症が追跡された。標準化発症率(SIR)は、コホート内でのがんの観察数をデンマーク全国民での期待数で割って求めた。【結果】男女合計で、全がんで14, 249例が観察された(SIR=0.95;95%信頼区間[CI]=0.93~0.97)。携帯電話使用とリスク増加との関連がなかったのは、脳腫瘍SIR=0.97)、聴神経鞘腫SIR=0.73)、唾液腺腫瘍SIR=0.77)、眼腫瘍SIR=0.96)、白血病SIR=1.00)であった。10年以上の長期加入者については、携帯電話使用は脳腫瘍リスク増加と関連せず(SIR=0.66;CI=0.44~0.95)、最初の加入以降の期間とのいかなる傾向もなかった。喫煙が関連するがんリスクは、男性では減少し(SIR=0.88;CI=0.86~0.91)、女性では増加した(SIR=1.11;CI=1.02~1.21)。収入および喫煙普及度に関しての男性を主としたデータから、1980年代中盤で加入を始めた携帯電話使用者は国民全体に比べ、高い収入を得ていたこと、喫煙が少ないことが示された。【結論】がんリスク携帯電話使用との関連の証拠は、携帯電話の短期または長期使用者において見いだされなかった。さらには、信頼区間が狭かったことから、がんリスク携帯電話使用との大きな関連はないと考えることができる。

研究の目的(著者による)

デンマークの1982-2002年の携帯電話加入者におけるがんリスクを調査するため、全国コホートを拡張したフォローアップを実施した。

詳細情報

このコホートについての先行研究の結果は、publication 5675 で報告している。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (標準化発生率比(SIR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
集団 1 最初の加入からがんの診断までの期間:< 1年
集団 2 最初の加入からがんの診断までの期間:1-4年
集団 3 最初の加入からがんの診断までの期間:5-9年
集団 4 最初の加入からがんの診断までの期間:≥ 10年

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 723,421
参加者 420,095

結論(著者による)

最初の携帯電話加入からの平均期間は8.5年であった。デンマークのコホートの56648人が携帯電話サービスに10年超加入していた。
 脳腫瘍聴神経鞘腫唾液腺腫、目の腫瘍、は欠病またはがん全体について、携帯電話使用に関連したリスク上昇は認められなかった。長期加入者についてのリスク上昇もなかった。
著者らは、短期的または長期的なユーザーのいずれにも、がんリスク携帯電話使用との関連の証拠を見出さなかった。

研究助成

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