研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[中国の上海都市部での1983-2007年における脳および神経腫瘍の発生率増加] epidem.

Increasing incidence of brain and nervous tumours in urban Shanghai, China, 1983-2007

掲載誌: Asian Pac J Cancer Prev 2011; 12 (12): 3319-3322

この研究は、1990年代半ばから携帯電話サービス加入者が増加した上海を調査地域として、1983年から2007年までの上海都市部における、脳および神経系腫瘍発生率の時間的傾向を調査し、区分回帰モデルを適用して腫瘍の年間発生率傾向の変化を分析し、将来の傾向を予測した。その結果、1983年から2007年にかけて、脳および神経系腫瘍の年齢調整発生率は、男性では年毎に1.2 %(95 %信頼区間[CI]:0.4 - 1.9 %)、女性では年毎に2.8 %(95 % CI:2.1 – 3.4 %)ずつ徐々に増加した;2020年の上海都市部における脳および神経系腫瘍の年齢調整発生率は、100,000人年あたり7.4および10.9と推定された;以上の知見は、携帯電話の使用と脳および神経系腫瘍リスク増加との関連の仮説を支持していないと結論される、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話の導入前後の1983年から2007年までに、中国・上海の都市部での脳及び中枢神経系腫瘍発生率傾向が変化したかどうかを評価するため、発生率の時間的傾向を調査した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (標準化発生率比(SIR))

ばく露

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 6,000,000
統計学的分析方法:

結論(著者による)

脳腫瘍及び神経系腫瘍の年齢で調整した発生率は、1983年から2007年までに男性で年1.2%(CI 0.4-1.9%)、女性で年2.9%(CI 2.1-3.4%)徐々に増加した。2020年の上海都市部での脳腫瘍及び神経系腫瘍の年齢で調整した発生率は、10万人‐年あたり7.4人及び10.9人と推定された。
著者らは、本研究は携帯電話使用と脳腫瘍及び神経系腫瘍リスク上昇との関連を支持しなかった、と結論付けた。但し、携帯電話ばく露の広範さに加えて、脳及び神経系腫瘍発生率の増加を考慮すれば、より長いフォローアップの発生率の時間的傾向の評価が是認される。

研究助成

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