研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[900MHz電磁界への出生前ばく露の21日齢雄ラットの心臓への影響] med./bio.

The effects of prenatal exposure to a 900-MHz electromagnetic field on the 21-day-old male rat heart

掲載誌: Electromagn Biol Med 2015; 34 (4): 390-397

この研究は、妊娠ラットに900 MHz電磁界の出生前ばく露EMFラットの入ったボックス内での電界強度妊娠13日から21日まで1日1時間)を行い、ばく露群および擬似ばく露群から生まれた21日齢の雄ラット心臓組織学的パラメータを比較した。母ラットばく露レベル(ラットの入った状態でのボックス内レベル)は、電界強度13.77V/m、電力密度0.50 W/m2であった。その結果、ばく露群から生まれた仔ラット心臓組織では、マロンジアルデヒドMDA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)およびカタラーゼ(CAT)のレベルは有意に上昇し、グルタチオンのレベルは低下した;光学顕微鏡検査では、心筋線維の不規則性およびアポトーシス的変化が見られた;電子顕微鏡検査では、ミトコンドリアの稜の消失および膨化、筋原線維変性、構造異常などが見られた、と報告している。

研究目的(著者による)

ラット心臓酸化ストレスおよび組織学に対する900 MHz電磁界ばく露の影響を調べること。

詳細情報

6匹のラットを2群に分けた (各群n=3 ): 1) 電磁界ばく露群、2) 無ばく露対照群。それぞれの群から、生後21日目に6匹の仔ラットを無作為に選出し、検査した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 900 MHz
ばく露時間: continuous for 1 hour/day from day 13 to 21 of pregnancy

ばく露1

主たる特性
周波数 900 MHz
タイプ
  • electromagnetic field
ばく露時間 continuous for 1 hour/day from day 13 to 21 of pregnancy
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
チャンバの詳細 plexiglass jar (30 cm x 42 cm x 50 cm)
ばく露装置の詳細 setup consisted of an oscillator connected to a half-wave dipole antenna (1 mm x 15 cm copper rod) using a coaxial cable; the antenna was installed centrally approximately 11 cm into the open end of the jar
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 13.77 V/m mean 測定値 - -
電力密度 0.5 W/m² mean 測定値 - -
SAR 0.025 W/kg - 計算値 whole body -
電力 300 mW - - - approximate output power

Reference articles

  • Hanci H et al. (2013): [21日齢のラットの精巣に対する900 MHz電磁界への出生前ばく露の影響]
  • Bas O et al. (2013): [出生前の妊娠13日から21日まで900メガヘルツ電磁界にばく露した32日齢の雌ラットのアンモン角の錐体細胞消失]
  • Ikinci A et al. (2013): [仔ラットの海馬の形態および学習行動に対する900メガヘルツ電磁界への出生前ばく露の影響]
  • Odaci E et al. (2013): [雌の仔ラットの脊髄の形態および運動行動に対する出生前の900メガヘルツ電磁界へのばく露の影響]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露群では、光学顕微鏡法で心筋線維における不規則性、変性空胞化および細胞核消失が観察されたが、対照群ではこれらは存在しなかった。その上、ばく露群では対照群に比べ、アポトーシス的変化をした細胞の数が有意に多かった。

ばく露群では、電子顕微鏡検査で心筋細胞でのミトコンドリアおよび筋原線維異常などが見られたが、対照群では見られなかった。

ばく露群では、対照群に比べ、脂質過酸化およびスーパーオキシドジスムターゼカタラーゼ酵素活性が有意に上昇し、グルタチオン減少量は有意に低下した。

著者らは結論として、「ラットの 900 MHz電磁界への出生前ばく露は、心臓酸化ストレスおよび病理学的変化を引き起こす可能性がある」と述べている。

研究の種別:

研究助成

関連論文