研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[紫外線照射した出芽酵母の細胞周期動態及びコロニー形成能力に対する50Hz磁界の影響] med./bio.

Effects of 50 Hz magnetic field on cell cycle kinetics and the colony forming ability of budding yeast exposed to ultraviolet radiation

掲載誌: Bioelectromagnetics 2001; 22 (5): 345-350

この研究は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae/SEy210a)の一倍体細胞に対する紫外線UVばく露の影響が、50Hz正弦波磁界MF:120 μT)を同時ばく露することによってさらに変化するか否かを調べた。UVは、エネルギーの大部分がUVB範囲(280-320 nm)にあり、生物学的重み付け(国際照明委員会(CIE)が定義した作用スペクトル)の線量レベルは175 J/m2であった。影響評価は、コロニー形成能(CFUs)および細胞周期動態で行なった。その結果、UVばく露を受けた酵母細胞の細胞周期相に対するMFの有意な影響は、1時点でのみ見られ、それはMFばく露後の最初の周期の動態への影響であった;UVばく露を受けた酵母細胞のコロニー形成能に対するMFばく露の影響は、UV照射後420分で有意であった;さらに、UV照射後240、360、420分において、UV単独ばく露群に比べ、UV + MFばく露群の方が、すべての実験において、CFUsが少なかった、と報告している。

研究目的(著者による)

紫外線UV照射した出芽酵母コロニー形成能力または細胞周期動態に対する超低周波磁界の影響を調査すること。

詳細情報

10分間のUV照射後の様々な時間(0、30、60、120、240、300、360、420分)に、コロニー形成単位及び細胞周期の測定のために細胞を収集した。UVの線量レベルは175J/m²であった。UV(10分間)及び磁界ばく露は同時に開始し、磁界ばく露は実験終了まで継続した(430分まで)。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: up to 430 min

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 up to 430 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • Two 100 mm x 1300 mm rectangular coils
ばく露装置の詳細 A wooden exposure system, in which petri dishes along with the coils were situated at the upper part and a UV lamp placed underneath the petri dishes.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 120 µT mean - - +/- 5 µT

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

細胞周期動態についてのデータは、最初の細胞周期にUV単独照射した酵母細胞と比較して、UV照射磁界ばく露の酵母細胞では遅延時間が異なることを示唆している。細胞周期動態に対する磁界の影響は、1つの時点(UV照射の60分後)のみで見られた。

UV照射した酵母細胞のコロニー形成能力に対する磁界ばく露の影響は、UV照射の420分後に統計的に有意であった(コロニー形成単位が少なかった)。更に、UV照射後の他の時点では、UV単独照射の酵母細胞と比較して、「UV照射磁界ばく露」の集団のコロニー形成単位が少なかったが、その差は統計的に有意ではなかった。

これらの知見は、磁界ばく露はUV照射とあわせて、酵母細胞の生存と増殖に何らかの影響を及ぼすかも知れない、ということを示している可能性がある。

研究の種別:

研究助成

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