この研究は、超低周波(ELF)50 Hz正弦波磁界(1または5 mT)への2時間ばく露を受けたK562ヒト赤白血病細胞における細胞損傷およびアポトーシスの可能性について高分解能プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)分光法を用いて調べた。まず、ばく露を受けたK562細胞全体およびこれらの細胞からの過塩素酸抽出物の1次元1H-NMRスペクトルを得た。さらに、2次元1H-NMRスペクトルも取得した。細胞損傷は乳酸デヒドロゲナーゼの放出により評価した。細胞増殖の変化は成長曲線分析、ブロモデオキシウリジン取り込みおよびKi67抗原の局在化によって観察した。また、細胞死(壊死およびアポトーシス)はクロマチン色素Hoechst 33258を用いて検査した。その結果、1H-NMRで観察された多数の代謝物の変動から、ELF磁界に対するK562細胞の応答としてのアポトーシス様挙動が明らかにされた;特に、従来的な研究手法で細胞のアポトーシス性が同定できない場合にも、アポトーシス様挙動を示唆する代謝産物の変動を1H-NMR法は示せるので、ELF磁界の細胞への影響の研究には非常に有用である、と報告している。
細胞全体、ならびにその過塩化抽出物を評価した。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 2 h |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | 75 cm² tissue culture flasks containing K562 cells were placed in the center of the coils. The setup was maintained at 37°C. The magnetic field was parallel to the cells. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | effective value | 測定値 | - | ± 3% measurement accuracy |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 2 h |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | effective value | 測定値 | - | ± 3% measurement accuracy |
1H-NMRで見つかった多くの代謝物における変動は、超低周波磁界にばく露された細胞の応答におけるアポトーシス様の挙動を明らかにしている。細胞に対する超低周波電磁界の影響を調査する上で、特にアポトーシスの初期段階の動態のより良い理解のため、1H-NMRは極めて有益であり得る。アポトーシス様の挙動を示唆する代謝物における変動は、より伝統的な技法で細胞がアポトーシス性であると同定できない場合に生じる。
磁界ばく露細胞が死ぬかどうか、あるいはアポトーシスプロセスが逆転するかどうかは不明である。それでも、超低周波電磁界が非常に重要な方法で細胞に影響を及ぼすのは明らかである。これらの影響をより良く理解するため、更なる研究が必要である。
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