研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[異なる年齢のスナネズミにおける超低周波磁界によって生じた運動行動の変化の時間的なパターン] med./bio.

Temporal patterns of extremely low frequency magnetic field-induced motor behavior changes in Mongolian gerbils of different age

掲載誌: Int J Radiat Biol 2012; 88 (4): 359-366

この研究は、3か月齢と10か月齢のオスのスナネズミのさまざまな行動パラメータ(自発運動性、常同行動、不動性)に対する超低周波磁界(ELF-MFばく露の影響を調べた。動物は、7日間連続で、ELF-MF(50 Hz; 0.1、0.25、0.5 mT)ばく露を受けた。オープンフィールドテスト(60分間)を、ばく露の1、2、4、および7日目のそれぞれ終了後、およびELF-MFばく露終了の3日後に実施した。早発性影響および遅発性影響を見るためである。その結果、生後3か月のスナネズミでは、ELF-MF(0.1、0.25、0.5 mT)ばく露群で、運動行動運動性と常同性)が増加し、その結果として不動性が減少した;さらにばく露終了の3日後に常同行動と不動性への影響が見られた(0.25 mT群を除く);生後10か月のスナネズミでは、運動行動が、0.1mTばく露群では減少、0.25mTばく露群ではやや増加、0.5 mTばく露群では大きく刺激された;さらにばく露終了の3日後には、ELF-MFばく露レベルに関係なく、運動行動の増加が観察された、と報告している。

研究目的(著者による)

異なる年齢のスナネズミにおける異なる行動パラメータに対する超低周波磁界への7日間のばく露の影響を調べること。ばく露の1日目、2日目、4日目、7日目(即発影響)ならびにばく露終了の3日後(遅発影響)に行動パラメータを調べた。

詳細情報

以下の主なグループを調べた:3月齢の雄のスナネズミ(n=35)及び10月齢の雄のスナネズミ(n=35)。

動物を2つの対照群ケージ対照及び偽ばく露)ならびに3つのばく露群(0.1、0.25及び0.5mT)に分けた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 7 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 7 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
チャンバの詳細 gerbils were exposed in standard polycarbonate cages (26 cm x 43 cm x 15 cm); simultaneously, two cages with 3-4 gerbils were placed in the vicinity of ELF-MF source for 7 days, one on the left side of the electromagnet and another on the right side
ばく露装置の詳細 electromagnet with a regular laminated transformer core and pole diameter of 9.5 cm; the center of each cage was at 20, 28 and 40 cm from the electromagnetic poles
Sham exposure A sham exposure was conducted.
Additional information the electromagnet was supplied with a sinusoidal current (50 Hz, 40 V, 4.5 A)
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 8.9 mT maximum 測定値 - on the electromagnetic poles
磁束密度 0.5 mT mean - - at a distance of 20 cm
磁束密度 0.25 mT mean - - at a distance of 28 cm
磁束密度 0.1 mT mean - - at a distance of 40 cm

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

7日間の超低周波磁界ばく露(0.1、0.25、0.5mT)は、3月齢のスナネズミの運動行動(自発運動活動及び常同症)を刺激し、最も有意な変化はばく露初日に観察された。同時に、7日間のばく露の全期間を通じて、不動性の有意な減少が報告された。加えて、異なる超低周波磁界ばく露は、常同性(減少)及び不動性(増加)に対する遅発影響(0.25mTを除く)を示した。

10月齢のスナネズミの行動に対する超低周波磁界の影響は、電磁界の値に大きく依存していた。ばく露初日の運動行動(自発運動行動及び常同性)を、0.1mTは減少、0.25mTは影響なし、0.5mTは増加させた。但し、0.25mTでのばく露2日目の運動行動有意な増加が報告された。更に、0.5mTでの7日間のばく露の全期間を通じて、不動性の有意な減少が見られた。

ばく露終了の3日後(遅発影響)、全てのばく露群で、対照群と比較して有意な運動行動刺激及び不動時間の低減が認められた。

結論として、この結果は、超低周波磁界による3月齢及び10月齢のスナネズミにおける即発的及び遅発的な運動行動の変化について、固有の時間的パターンを明らかにした。これは(運動行動の制御を司る)脳の構造の年齢依存性の違いによるものかも知れない。

研究の種別:

研究助成

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