研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[超低周波磁界ばく露および電気ショックとパーキンソン病のリスク] epidem.

Extremely low-frequency magnetic field exposure, electrical shocks and risk of Parkinson's disease

掲載誌: Int Arch Occup Environ Health 2015; 88 (2): 227-234

この研究は、病院ベースの症例対照研究で、パーキンソン病(PD)と超低周波磁界(ELF-MFばく露電気ショック・電気的職業の職歴との関連を調べた。PD症例444人、年齢/性別をマッチさせた対照876人を分析した。電話インタビュ調査で収集した職歴情報を職種-ばく露(ELF-MFおよび電気ショック)マトリクスとリンクさせた。さらにインタビュ調査では、ELF-MFばく露および電気ショック体験に係わる家庭電気機器の使用、潜在的交絡因子を質問した。その結果、調査に用いたばく露評価項目のいずれもPDリスクと関連しなかった;一方、調べた種々のばく露カテゴリの大部分で、一貫してリスク推定値の低下を観察した;ただし、これまでの研究知見およびメカニズムの不明を考慮すれば、これが直ちにPD発症の真の保護効果であるとは思えない、と報告している。

研究の目的(著者による)

パーキンソン病リスクと、職業的及び非職業的発生源からの超低周波磁界及び電気ショックへのばく露との間にあるかも知れない関連を調査するため、オランダにおいて症例対照研究を実施した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 職業-ばく露マトリクス:低のみ
集団 2 職業-ばく露マトリクス、これまでのばく露:中
集団 3 職業-ばく露マトリクス、これまでのばく露:高
集団 4 ばく露期間: 1-8年
集団 5 ばく露期間: 9-23年
集団 6 ばく露期間: 24-55年
集団 7 累積ばく露: 1-9単位‐年
集団 8 累積ばく露: 10-26単位‐年
集団 9 累積ばく露: 27-188単位‐年
参照集団 10 家庭用電気製品ばく露+非職業的溶接: 0 µT-年
集団 11 家庭用電気製品ばく露+非職業的溶接: > 0 - 2.0 µT-年
集団 12 家庭用電気製品ばく露+非職業的溶接: > 2.0 - 3.8 µT-年
集団 13 家庭用電気製品ばく露+非職業的溶接: > 3.8 - 5.7 µT-年
集団 14 家庭用電気製品ばく露+非職業的溶接: > 5.7 µT-年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 1,001 -
連絡担当者 993 -
参加者 448 876
参加率 45 % 35 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

パーキンソン病リスクと、職業的及び非職業的発生源からの超低周波磁界及び電気ショックへのばく露との関連は認められなかった。但し、調査したばく露カテゴリーの大多数で、極めて一貫したリスク推定値の低下が認められた。先行研究の結果と、仮定されるメカニズムがないことを踏まえれば、超低周波磁界または電気ショックにはパーキンソン病の発生に対して実際に防護作用がある、ということを示しているわけではなさそうである。

著者らは、本研究の結果はパーキンソン病超低周波磁界及び電気ショックへのばく露、または「電気的職業」での就労との関連は存在しないことを示唆している、と結論付けている。

研究助成

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