超低周波(ELF)電磁界は、シグナル伝達経路を標的とし、酸化剤および抗酸化剤の産生を通じて細胞の酸化還元バランスに影響力を及ぼすことで、炎症反応を調節することが知られている。この研究は、ELF磁界の抗酸化作用の根底にある分子メカニズム、特に核因子E2関連因子2(Nrf2)を通じて転写的に調節される抗酸化酵素について、THP-1細胞[ヒト単球由来細胞]で調べた。リポ多唐(LPS)で処理した細胞を、50 Hz、1 mTのELF磁界に1時間、6時間、24時間ばく露した。その結果、ELF磁界はLPSで処理したTHP-1細胞において、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)のmRNAおよびタンパク質発現を生じ、そのピークは6時間で生じることが示された。免疫染色分析では、HO-1の核の濃縮が確認された。更に、ELF磁界はサーチュイン1(SITR1)および核因子カッパB(NF-kB)経路のタンパク質発現を阻害し、その抗炎症性/抗酸化的な役割が確認された。Akt阻害剤のLY294002、およびERK阻害剤のPD980559での事前処理は、ELFばく露した細胞でのLPSによるNrf2核転座およびHO-1タンパク質発現を阻害した。これらの結果は、短期的なELF磁界ばく露は、細胞内グルタチオン蓄積に関連するNrf-2/HO-1およびSIRT1/NF-kB経路の調節を介して、LPS等の炎症性/酸化的傷害で処理したTHP-1細胞において保護的な役割を生じることを示唆している、と著者らは結論付けている。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1: 50 Hz |
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