研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[マウスのマクロファージにおける食作用とフリーラジカル産出の50Hz電磁界による刺激] med./bio.

Stimulation of phagocytosis and free radical production in murine macrophages by 50 Hz electromagnetic fields

掲載誌: Eur J Cell Biol 2001; 80 (8): 562-566

この研究は、マウス骨髄由来マクロファージによる食作用およびフリーラジカル産生に対する50Hz磁界の影響を調べた。マクロファージを、異なる磁束密度(0.5-1.5 mT)でインビトロばく露した。食作用による取り込みは、ラテックスビーズの内在化速度測定により定量化した。その結果、45分間ばく露で、食作用による取り込みは有意に増加した(36.3 % ±15.1 %);1 nMの12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート(TPA)による刺激は、1 mTの磁界と同程度の食作用活性の増加を示した;しかし、磁界とTPAの同時ばく露では、ビーズ取り込み相乗効果は見られなかったため、磁界によるマウス骨髄由来マクロファージ刺激にプロテインキナーゼは関与しないことが示された;さらに、磁界ばく露後にスーパーオキシド産生の有意な増加も検出された、と報告している。

研究目的(著者による)

マウスの骨髄由来マクロファージでの食作用及びフリーラジカル産出を調べることで、50Hz電磁界の活性化能力を調査すること。プロテインキナーゼC介在性のシグナル伝達経路が関与しているかどうかを調べるため、TPAと電磁界との共ばく露を実施した。

詳細情報

マクロファージ活性化の陽性対照としてTPA刺激(1nM、10nM、1mM)を用いた。これは、食作用活性ならびにラジカル産出は共にTPAによって刺激することができるためである。TPAはプロテインキナーゼCと相互作用し、プロテインキナーゼC介在性のシグナル伝達を活性化させ得る。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 30, 45 and 60 min

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 30, 45 and 60 min
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 Culture dishes were placed in the center of the exposure system in a tissue culture incubator. Control samples were either run simultaneously in a separate incubator or in the same incubator with the coil system switched off.
Additional information Two different exposure systems, Merritt coil system and Helmholtz coil system, were used to generate horizontally polarized magnetic fields with respect to the culture medium surface.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1.5 mT maximum 測定値 - 1.0 mT or 0.5 mT

Reference articles

  • Simko M et al. (1998): [50 Hz磁界を水平、垂直に印加した後のヒトAFC細胞における微小核形成]

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

電磁界への短期ばく露(45分間)は食細胞の取り込み有意な増加を生じた。TPA刺激(1nM)は、1mTの電磁界と同様の食細胞活性化の増加を示した。但し、電磁界とTPAの共ばく露は、取り込みの更なる増加を生じなかった。ゆえに著者らは、相加作用がないことから、これらのマクロファージ電磁界誘導される刺激はプロテインキナーゼCシグナル伝達経路に関与していない、と結論付けた。
更に、電磁界ばく露後の過酸化生成物の有意な増加が検出された。これは、マクロファージの直接的な活性化の証拠と考えられる。

研究の種別:

研究助成

関連論文