研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[無線周波/マイクロ波放射への職業ばく露と脳腫瘍のリスク:インターフォン研究グループ、ドイツ] epidem.

Occupational exposure to radio frequency/microwave radiation and the risk of brain tumors: Interphone Study Group, Germany

掲載誌: Am J Epidemiol 2006; 164 (6): 538-548

この研究は、高周波マイクロ波電磁界RF/MW-EMF)の職業ばく露神経膠腫および髄膜腫リスクに関する人口ベース症例対照研究である。2000年~2003年にドイツ3地域で収集された、年齢30歳~69歳の、神経膠腫症例381人、髄膜腫症例366人、対照1494人を対象とした。コンピュータ支援の個人インタビュー調査で収集されたRF/MW-EMFばく露情報を用いて、職務活動とばく露のマトリックスを作成した。「高」ばく露を、ICNIRPガイドラインの公衆ばく露制限値を超過する可能性のある職業ばく露と定義した。神経膠腫髄膜腫別に、条件付き多重ロジスティック回帰分析を行った。その結果、RF/MW-EMFへの職業ばく露脳腫瘍との間の関連は示されなかった;神経膠腫では、「高」ばく露群とそれ以外の人々を比較した調整オッズ比は1.21(95% CI: 0.69, 2.13)で、髄膜腫では、同様に値は1.34(95% CI: 0.64, 2.81)であった;ばく露期間増加に伴うリスクの若干の上昇が観察された、と報告している。

研究の目的(著者による)

無線周波マイクロ波放射への職業ばく露脳腫瘍リスクとの関連を、インターフォン研究のドイツのパートにおいて調査した。

詳細情報

無線周波マイクロ波放射へのばく露は、職業‐ばく露マトリクスで評価した。各被験者について、あったと思われるばく露を、活動とばく露期間についての情報を用いて計算した。国際非電離放射線防護委員会ICNIRP)が勧告している、一般公衆に対する無線周波マイクロ波ばく露限度(publication 3602)を超えるかも知れない職業ばく露を、高ばく露と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 全ばく露:なし/恐らくばく露なし
集団 2 全ばく露:恐らくあり/高ばく露
参照集団 3 恐らくばく露:ばく露なし
集団 4 恐らくばく露:恐らくなし
集団 5 恐らくばく露:恐らくあり
集団 6 恐らくばく露:高
参照集団 7 高ばく露の期間:高ばく露なし
集団 8 高ばく露の期間:< 10年間高ばく露
集団 9 高ばく露の期間:≥ 10年間高ばく露

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 891 2,449
参加者 747 1,535
参加率 84 % 63 %
その他:

神経膠腫の症例366人、髄膜腫の381人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

104人が無線周波マイクロ波放射に恐らくばく露され、87人が高ばく露と見なされた。本研究集団全体では、無線周波マイクロ波放射への職業ばく露と、神経膠腫または髄膜腫リスクとの有意な関連は認められなかった。ばく露期間の増加と高ばく露について、僅かなリスク上昇が認められたが、これらの結果は少ない数に基づいていた。

研究助成

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