研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と良性及び悪性の耳下腺腫瘍のリスク‐全国規模の症例対照研究] epidem.

Cellular phone use and risk of benign and malignant parotid gland tumors--a nationwide case-control study.

掲載誌: Am J Epidemiol 2008; 167 (4): 457-467

この全国規模の研究は、携帯電話使用と耳下腺腫瘍(PGT)の発症との関連を評価することを目的として行われた。研究手法は、携帯電話使用の悪影響の可能性の評価を目的とした国際INTERPHONE研究弐基づいた。イスラエル国内で、2001~2003年に、18歳以上でPGTと診断された402人の良性症例と58人の悪性症例、また、人口集団から個人別にマッチされた1266人の対照が研究に参加した。全体において、PGTのリスク上昇は、今まで携帯電話を規則的に使用してきた人(オッズ比=0.87;p=0.3)でも、調査された他のどのばく露指標についても見られなかった。しかし、高いばく露レベルをもたらす可能性のある携帯電話使用者や条件(郊外での激しい使用など)に限定した分析では、一貫してリスク上昇を示した。病巣と同じ側での使用では、ハンズフリー機器不使用者における、累積通話回数および累積通話時間の最高カテゴリーでのオッズ比は、それぞれ、1.58(95%信頼区間:1.11)、1.49(95%信頼区間:1.05、2.13)であった。病巣と反対側での携帯電話使用のリスクは1と大きく違わなかった。これらの測定尺度について正の量反応の傾向がみられた。値から明らかにされた。これまで報告された最も多い良性PGT患者に基づいて、今回の結果は、携帯電話使用とPGTの関連を示唆する。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用と耳下腺腫瘍との関連を、イスラエルにおける全国規模の症例対照研究で調査した。本研究はインターフォン・プロジェクトの一部である。

詳細情報

腫瘍側性携帯電話使用の側性との関連は、症例のみの分析(片側での優越した使用を報告した定常的ユーザーの症例のみを含めた)、ならびに同側及び反対側使用で階層化した症例対照分析で評価した。
携帯電話の定常的使用は、少なくとも6か月間にわたって少なくとも週1回と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 定常的ユーザー:いいえ、または < 1年
集団 2 定常的ユーザー:はい
参照集団 3 過去に5年間の定常的ユーザー:いいえ
集団 4 過去に5年間の定常的ユーザー:はい
参照集団 5 過去に10年間の定常的ユーザー:いいえ
集団 6 過去に10年間の定常的ユーザー:はい
参照集団 7 最初の使用からの期間:なし、または< 1 年
集団 8 最初の使用からの期間:1 - 4.9年
集団 9 最初の使用からの期間:5 - 9.9年
集団 10 最初の使用からの期間: ≥ 10年
参照集団 11 使用期間:なし、または < 1年
集団 12 使用期間:1 - 4.9年
集団 13 使用期間:5 - 9.9年
集団 14 使用期間:≥ 10年
参照集団 15 累積通話件数:非ユーザー、または< 1年
集団 16 累積通話件数:≤ 5,479
集団 17 累積通話件数:≥ 5,480
集団 18 累積通話件数:≥ 18,997
参照集団 19 累積通話時間:非ユーザー、または< 1年
集団 20 累積通話時間:≤ 266.3時間
集団 21 累積通話時間:> 266.3時間
集団 22 累積通話時間:> 1,035時間
参照集団 23 使用開始からの期間別の累積通話時間:非ユーザー、または< 1年
集団 24 使用開始からの期間別の累積通話時間:< 5年、≤ 266.3時間
集団 25 使用開始からの期間別の累積通話時間:< 5年、> 266.3時間
集団 26 使用開始からの期間別の累積通話時間:≥ 5年、≤ 266.3時間
集団 27 使用開始からの期間別の累積通話時間:≥ 5年、> 266.3時間
参照集団 28 使用開始からの期間別の累積通話件数:非ユーザー、または< 1年
集団 29 使用開始からの期間別の累積通話件数:< 5年、≤ 5479
集団 30 使用開始からの期間別の累積通話件数:< 5年、> 5479
集団 31 使用開始からの期間別の累積通話件数:≥ 5年、≤ 5479
集団 32 使用開始からの期間別の累積通話件数:≥ 5年、> 5479
参照集団 33 定常的ユーザーのみ、使用開始からの期間:1 - 4.9年
集団 34 定常的ユーザーのみ、使用開始からの期間:5 - 9.9年
集団 35 定常的ユーザーのみ、使用開始からの期間:≥ 10年
参照集団 36 定常的ユーザーのみ、使用期間:1 - 4.9年
集団 37 定常的ユーザーのみ、使用期間:5 - 9.9年
集団 38 定常的ユーザーのみ、使用期間:≥ 10年
参照集団 39 定常的ユーザーのみ、累積通話件数:≤ 5,479
集団 40 定常的ユーザーのみ、累積通話件数:5,480 - 18,996
集団 41 定常的ユーザーのみ、累積通話件数:≥ 18,997
参照集団 42 定常的ユーザーのみ、累積通話時間:≤ 266.3 hours
集団 43 定常的ユーザーのみ、累積通話時間:266.4 - 1034.9 hours
集団 44 定常的ユーザーのみ、累積通話時間:≥ 1035 hours

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 531 1,920
参加者 460 1,266
参加率 87 % 66 %
その他:

良性腫瘍402人、悪性の腫瘍58人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

イスラエルの携帯電話ユーザーは、インターフォン研究に参加している他の国々のユーザーと比較して、例外的にヘビーユーザーである。
定常的な携帯電話ユーザー全体では、耳下腺腫瘍リスク上昇は認められなかった。同側使用については、累積通話件数及び累積通話時間が最大のカテゴリーで、オッズ比が有意に上昇した。
著者らは、この結果は携帯電話の長期的なヘビーユーズと耳下腺腫瘍との関連を示唆している、と結論付けた。この関連は、定常的ユーザーに限定した分析、携帯電話使用の側性の分析、主な使用地域(都市部、農村部、両方)の分析で認められた。

研究助成

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