研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と聴神経鞘腫のリスク] epidem.

Mobile Phone Use and the Risk of Acoustic Neuroma

掲載誌: Epidemiology 2004; 15 (6): 653-659

この研究は、携帯電話からの無線周波ばく露と聴神経腫の発症リスクの関連を調べた人口ベース症例対照研究である(インターホン研究の一環)。スウェーデンの特定の地域で1999年から2002年にかけて聴神経腫と診断された20歳から69歳のすべての症例を特定した。対照は、年齢、性別、居住地域で層別化された調査データベースから無作為抽出された。携帯電話の使用およびその他の環境ばく露に関する詳細情報は、症例148人(参加率93 %)および対照604人(同72 %)から収集された。その結果、携帯電話の通常使用に関連する聴神経腫の全体的なオッズ比は1.0(95 %信頼区間: 0.6-1.5)であった;携帯電話の使用開始から10年後の人においては、推定相対リスクは1.9(同: 0.9-4.1)に上昇し、電話の通常使用頭側と同側の腫瘍に限定した場合、相対リスクは3.9(同: 1.6-9.5)であった、と報告している。著者らは、「この調査結果は、短い潜伏期を経た、短期の携帯電話使用に関連する聴神経腫のリスク増加を示さなかった。しかし、少なくとも10年間の携帯電話の使用に関連する聴神経腫のリスク増加は示唆された」と結論している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用と聴神経鞘腫リスクとの関連を調査するため、スウェーデンにおいて人口ベース症例対照研究を実施した。

詳細情報

携帯電話の定常的使用は、6か月以上にわたって平均で週1回使用と定義した。
本研究はインターフォン・プロジェクトの一部である。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 使用経験なし、または非定常的に使用
集団 2 定常的に使用
集団 3 使用期間 < 5 年
集団 4 使用期間 5-9 年
集団 5 使用期間 ≥ 10 年
集団 6 最初の定常的使用からの期間 < 5 年
集団 7 最初の定常的使用からの期間 5-9 年
集団 8 最初の定常的使用からの期間 ≥ 10 年
集団 9 累積使用 < 30 時間
集団 10 累積使用 30-449 時間
集団 11 累積使用 ≥ 450 時間
集団 12 ハンズフリー使用について調整後の累積使用 < 30 時間
集団 13 ハンズフリー使用について調整後の累積使用 30-449 時間
集団 14 ハンズフリー使用について調整後の累積使用 ≥ 450 時間
集団 15 累積通話件数 < 625
集団 16 累積通話件数 625-7349
集団 17 累積通話件数 ≥ 7350
集団 18 デジタル携帯電話の定常的使用
集団 19 デジタル携帯電話の最初の定常的使用からの期間 < 5 years
集団 20 デジタル携帯電話の最初の定常的使用からの期間 ≥ 5 years
集団 21 アナログ携帯電話の定常的使用
集団 22 アナログ携帯電話の最初の定常的使用からの期間 < 5 years
集団 23 アナログ携帯電話の最初の定常的使用からの期間 5-9 years
集団 24 アナログ携帯電話の最初の定常的使用からの期間 ≥ 10 years
集団 25 同側ばく露、定常的使用
集団 26 同側ばく露、定常的使用の期間 < 5 年
集団 27 同側ばく露、定常的使用の期間 5-9 年
集団 28 同側ばく露、定常的使用の期間 ≥ 10 年
集団 29 同側ばく露、最初の定常的使用からの期間 < 5 年
集団 30 同側ばく露、最初の定常的使用からの期間 5-9 年
集団 31 同側ばく露、最初の定常的使用からの期間 ≥ 10 年
集団 32 反対側ばく露、定常的使用
集団 33 反対側ばく露、定常的使用の期間 < 5 年
集団 34 反対側ばく露、定常的使用の期間 5-9 年
集団 35 反対側ばく露、定常的使用の期間 ≥ 10 年
集団 36 反対側ばく露、最初の定常的使用からの期間 < 5 年
集団 37 反対側ばく露、最初の定常的使用からの期間 5-9 年
集団 38 反対側ばく露、最初の定常的使用からの期間 ≥ 10 年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 160 838
参加者 148 604
参加率 93 % 72 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

結果は、短期的な携帯電話使用に関連した聴神経鞘腫リスク上昇を示さなかった。データは、少なくとも10年間の携帯電話使用についての聴神経腫のリスク上昇を示唆していた。この関連は、携帯電話を通常保持するのと同じ側の腫瘍について最も強かった。

研究助成

この論文に対するコメント

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