研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[長期的な携帯電話使用と脳腫瘍のリスク] epidem.

Long-term mobile phone use and brain tumor risk

掲載誌: Am J Epidemiol 2005; 161 (6): 526-535

この研究は、スウェーデンにおいてハンドヘルド携帯電話の長期使用と脳腫瘍リスク上昇の関連を調べた人口ベース症例対照研究である。スウェーデンではハンドヘルド携帯電話は1980年代後半に導入された。スウェーデンの特定の地域で2000年から2002年に神経膠腫または髄膜腫診断された20歳から69歳のすべての患者を症例とした。無作為抽出された対照は、年齢、性別、居住地域で層別化された。携帯電話の使用に関する詳細情報は、神経膠腫371(74 %)と髄膜腫273(85 %)および対照674(71 %)で収集できた。その結果、通常的な携帯電話使用の場合、オッズ比神経膠腫で0.8(95 %信頼区間:0.6、1.0)、髄膜腫で0.7(95 %信頼区間:0.5、0.9)であった;同様の結果は、携帯電話の使用期間が10年を超える場合にも見られた;側頭葉および頭頂葉に位置する腫瘍に対する同側の電話使用のリスク増加は認められなかった;さらに、腫瘍組織、電話の種類、使用量に関係したオッズ比上昇はなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

このスウェーデンにおいて人口ベース症例対照研究の目的は、長期的な携帯電話使用が脳腫瘍リスクを高めるかどうかを調査することであった。本研究はインターフォン・プロジェクトの一部である。

詳細情報

携帯電話の定常的使用は、少なくとも6か月間、平均で週1回使用と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露:全く、またはほとんど使用せず
集団 2 定常的に使用
集団 3 定常的使用の期間 < 5 年
集団 4 定常的使用の期間 5-9 年
集団 5 定常的使用の期間 ≥ 10 年
集団 6 最初の定常的使用からの期間 < 5 年
集団 7 最初の定常的使用からの期間 5-9 年
集団 8 最初の定常的使用からの期間 ≥ 10 年
集団 9 累積使用 < 30 時間
集団 10 累積使用 30-499 時間
集団 11 累積使用 ≥ 500 時間
集団 12 ハンズフリー使用について調整後の累積使用 < 30 時間
集団 13 ハンズフリー使用について調整後の累積使用 30-449 時間
集団 14 ハンズフリー使用について調整後の累積使用 ≥ 450 時間
集団 15 累積通話件数 < 650
集団 16 累積通話件数 650-8549
集団 17 累積通話件数 ≥ 8550
集団 18 デジタル携帯電話の定常的使用
集団 19 デジタル携帯電話、最初の定常的使用からの期間 < 5 年
集団 20 デジタル携帯電話、最初の定常的使用からの期間 ≥ 5 年
集団 21 アナログ携帯電話の定常的使用
集団 22 アナログ携帯電話、最初の定常的使用からの期間 < 5 年
集団 23 アナログ携帯電話、最初の定常的使用からの期間 5-9 年
集団 24 アナログ携帯電話、最初の定常的使用からの期間 ≥ 10 年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 819 956
参加者 644 674
参加率 78 % 71 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

腫瘍組織学、電話の種類、使用期間に関わらず、携帯電話使用に関連した神経膠腫及び髄膜腫リスク上昇は認められなかった。

研究助成

この論文に対するコメント

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