研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[ワイヤレス電話の使用と唾液腺腫瘍のリスク:症例対照研究] epidem.

Use of wireless phones and the risk of salivary gland tumours: a case-control study.

掲載誌: Eur J Cancer Prev 2012; 21 (6): 576-579

本研究では、ワイヤレス電話使用が唾液腺腫のリスク上昇と関連しているかどうかを評価するため、69人の唾液腺腫の患者(そのうち耳下腺腫が63人)及び無作為に採用した対照262人についての症例対照研究を実施した。この結果、ワイヤレス電話使用は唾液腺腫の全体的なリスク上昇とは関連していなかった(OR=0.8、95%CI=0.4-1.5)。電話の種類別に計算した場合にも、潜伏期間ごと、または累積使用時間を3群(1-1000h、1000-2000h、2000h<)に分けた場合にも、リスク上昇は認められなかった。著者らは、このデータは、軽度または中程度、及び10年未満のワイヤレス電話使用に関連した唾液腺腫のリスク上昇があるということに反する証拠を追加しているが、より長期間の、及び/またはヘビーな使用に関連したリスクについての情報はほとんど提示していない、と結論している。

研究の目的(著者による)

ワイヤレス電話(携帯電話及びコードレス電話)の使用と唾液腺腫瘍リスクとの関連を調査するため、スウェーデンにおいて症例対照研究を実施した。

詳細情報

本論文では、Hardell他(2004)による先行研究の後の年に収集したデータを分析した。
診断前の1年以内に携帯電話またはコードレス電話の使用を開始した参加者は非ばく露に分類した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 ワイヤレス電話使用なし
集団 2 アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間 > 1年
集団 3 アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間1-5年
集団 4 アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間5-10年
集団 5 アナログ携帯電話、 ≤ 52時間、 潜伏期間 > 10年
集団 6 アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間 > 1年
集団 7 アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間1-5年
集団 8 アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間5-10年
集団 9 アナログ携帯電話、 > 52時間、 潜伏期間 > 10年
集団 10 デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間 > 1年
集団 11 デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間1-5年
集団 12 デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間5-10年
集団 13 デジタル携帯電話、 ≤ 69時間、 潜伏期間 > 10年
集団 14 デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間 > 1年
集団 15 デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間1-5年
集団 16 デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間5-10年
集団 17 デジタル携帯電話、 > 69時間、 潜伏期間 > 10年
集団 18 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間 > 1年
集団 19 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間1-5年
集団 20 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間5-10年
集団 21 携帯電話、 ≤ 66時間、 潜伏期間 > 10年
集団 22 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間 > 1年
集団 23 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間1-5年
集団 24 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間5-10年
集団 25 携帯電話、 > 66時間、 潜伏期間 > 10年
集団 26 コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間 > 1年
集団 27 コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間1-5年
集団 28 コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間5-10年
集団 29 コードレス電話使用、 ≤ 304時間、 潜伏期間 > 10年
集団 30 コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間 > 1年
集団 31 コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間1-5年
集団 32 コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間5-10年
集団 33 コードレス電話使用、 > 304時間、 潜伏期間 > 10年
集団 34 ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間 > 1年
集団 35 ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間1-5年
集団 36 ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間5-10年
集団 37 ワイヤレス電話使用、 ≤ 273時間、 潜伏期間 > 10年
集団 38 ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間 > 1年
集団 39 ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間1-5年
集団 40 ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間5-10年
集団 41 ワイヤレス電話使用、 > 273時間、 潜伏期間 > 10年
集団 42 アナログ携帯電話使用:1-1000時間
集団 43 アナログ携帯電話使用:1001-2000時間
集団 44 アナログ携帯電話使用: > 2000時間
集団 45 デジタル携帯電話使用:1-1000時間
集団 46 デジタル携帯電話使用:1001-2000時間
集団 47 デジタル携帯電話使用: > 2000時間
集団 48 携帯電話使用:1-1000時間
集団 49 携帯電話使用:1001-2000時間
集団 50 携帯電話使用: > 2000時間
集団 51 コードレス電話使用:1-1000時間
集団 52 コードレス電話使用:1001-2000時間
集団 53 コードレス電話使用: > 2000時間
集団 54 ワイヤレス電話使用:1-1000時間
集団 55 ワイヤレス電話使用:1001-2000時間
集団 56 ワイヤレス電話使用: > 2000時間

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 78 312
参加者 69 262
参加率 88 % 83 %
その他:

患者69人のうち63人が耳下腺腫瘍を有していた

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

唾液腺腫瘍の患者36人(52%)及び対照の被験者149人(57%)がワイヤレス電話使用を報告した;症例と対照のいずれにおいても、携帯電話使用(症例30人、対照111人)の方がコードレス電話使用(症例19人、対照93人)よりもやや一般的であった。

ワイヤレス電話の使用(携帯電話及びコードレス電話)は、唾液腺腫瘍の全体的なリスク上昇と関連していなかった(OR 0.8;CI 0.4-1.5)。異なる種類の電話について個別に計算した場合も、異なる潜伏期間または累積使用のカテゴリーについても、リスク上昇はなかった。耳下腺腫瘍リスクについても、全体的な結果は同様であった。著者らは、これらの結果は、軽度‐中程度のワイヤレス電話使用、及び、10年未満の使用に関連した耳下腺腫瘍リスク上昇があるということに対する反証を追加するものである、と結論付けている。

研究助成

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