研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[北欧5か国における携帯電話使用と神経膠腫のリスク] epidem.

Mobile phone use and risk of glioma in 5 North European countries.

掲載誌: Int J Cancer 2007; 120 (8): 1769-1775

携帯電話健康への悪影響の可能性について、主に頭蓋腫瘍に関して、社会的関心が示されている。我々は携帯電話使用と神経膠腫リスクとの関連を調査するために、1521人の神経膠腫症例と3301人の対照において人口に基づいた症例対照研究を行った。携帯電話の規則的使用に関連した神経膠腫リスク上昇の証拠は確認されなかった(オッズ比(OR)=0.78、95%信頼区間(CI):0.68、0.91)。また、使用期間、初めての使用からの年数、使用の累積回数、使用の累積時間のどのカテゴリーについても目立った関連性はなかった。線形の傾向性を調べた場合、携帯電話使用の累積時間についてORは100時間当たり1.006(1.002、1.010)だったが、初めての使用からの年数または使用回数ではこのような関係性は見られなかった。さらに、アナログ電話とデジタル電話を別々に分析した場合、リスク上昇は見られなかった。腫瘍がある側での携帯電話使用を報告した、10年を超える使用については、ぎりぎりの統計学有意性のあるOR上昇が見られたが(OR=1.39、95%CI:1.01、1.92、傾向性のp値0.04)、腫瘍と反対側頭部での同様の使用ではORは0.98(95%CI:0.71、1.37)であった。この結果は全体として、携帯電話使用に関連した神経膠腫リスク上昇を示さなかったが、脳の中で長期間使用で最も激しくばく露される部分におけるリスクの可能性については、明確な結論を出す前に、さらに調査する必要がある。

研究の目的(著者による)

神経膠腫携帯電話の使用との間にあるかも知れない関連を調査するため、北欧5か国(デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、イングランド南東部)において人口ベース症例対照研究を協力して実施した。
本研究はインターフォン・プロジェクトの一部である。

詳細情報

スウェーデン、デンマーク及び英国の研究は以前に発表されている(publication 11648, publication 11887, and publication 13154)。更に、著者らは最近、これらの研究に基づく聴神経鞘腫についての協力的分析も報告している(publication 12419)。

携帯電話の定常的使用は、少なくとも6か月間にわたって少なくとも週1回使用と定義した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非使用または非定常的使用
集団 2 定常的使用
集団 3 最初の使用からの年数:1.5-4
集団 4 最初の使用からの年数:5-9
集団 5 最初の使用からの年数:≥10
集団 6 生涯の使用年数:0.5-4
集団 7 生涯の使用年数:5-9
集団 8 生涯の使用年数:≥ 10
集団 9 累積通話件数:< 2172
集団 10 累積通話件数:2172-7792
集団 11 累積通話件数:> 7792
集団 12 累積使用時間:< 125
集団 13 累積使用時間:125-503
集団 14 累積使用時間:> 503
集団 15 最初の使用からの期間による累積通話件数: < 10年
集団 16 最初の使用からの期間による累積通話件数: ≥ 10年(≤ 1512件)
集団 17 最初の使用からの期間による累積通話件数: ≥ 10年(> 1512件)
集団 18 最初の使用からの期間による累積使用時間: < 10年
集団 19 最初の使用からの期間による累積使用時間: ≥ 10年(≤ 75時間)
集団 20 最初の使用からの期間による累積使用時間: ≥ 10年(> 75時間)
集団 21 アナログ電話使用
集団 22 デジタル電話使用
参照集団 23 非定常的使用または腫瘍と電話使用が反対側
集団 24 同側、最初の使用からの年数:1.5-4
集団 25 同側、最初の使用からの年数:5-9
集団 26 同側、最初の使用からの年数:≥10
参照集団 27 非定常的使用または腫瘍と電話使用が同側
集団 28 反対側、最初の使用からの年数:1.5-4
集団 29 反対側、最初の使用からの年数:5-9
集団 30 反対側、最初の使用からの年数:≥10

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 2,530 6,581
参加者 1,521 3,301
参加率 60 % 50 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

定常的な携帯電話使用に関連した神経膠腫リスク上昇の証拠は認められなかった。使用期間、最初の使用からの年数、累積通話件数または累積使用時間のカテゴリーについて、有意な関連は認められなかった。アナログ及びデジタル電話を個別に分析しても、リスク上昇は認められなかった。

10年超の携帯電話使用(グループ26)に、電話使用と同側の腫瘍についてのリスク上昇が認められた。報告された同側での10年超の携帯電話使用に関するリスク上昇の兆候は、偶然、因果的影響または情報バイアスによるものかも知れない。

研究助成

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