研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ラット卵巣中で低周波電磁界ばく露された発達中の卵胞における超微細構造変化およびアポトーシスの発生] med./bio.

Ultrastructural alterations and occurrence of apoptosis in developing follicles exposed to low frequency electromagnetic field in rat ovary

掲載誌: Pak J Biol Sci 2007; 10 (24): 4413-4419

この研究は、ラット低周波磁界ばく露を与え、卵胞への影響を形態学的に調べた。雌のウィスターラットに3 mTの低周波磁界ばく露を1日4時間、4か月間与えた。ばく露群と対照群卵巣を透過型電子顕微鏡(TEM)およびTUNEL反応法で検査した。その結果、TEMにより、ばく露群の卵母細胞では核が収縮し、透明帯対照群に比べ狭く見えた;また、対照群に比べ、ばく露群では微絨毛の数が有意に減少し、細胞質にはいくつかの脂肪滴があり、細胞小器官が分散していた;凝縮した核、クロマチンの辺縁付着、核膜の拡張などのアポトーシスの兆候が、ばく露群の顆粒膜細胞およびコロナ放射細胞において、対照群細胞に比べ多く見られた;ばく露群の顆粒膜細胞の主な形態学的変化は、顆粒膜細胞収縮微絨毛の喪失およびミトコンドリアクリステの凝縮または喪失であった;以上のような卵母細胞形態学的変化は、EMFの細胞毒性効果を示すようであり、顆粒膜細胞に生じた変化は、顆粒膜細胞アポトーシスの開始と一致することが示唆された、と報告している。

研究目的(著者による)

電磁界ばく露卵胞細胞及び卵母細胞アポトーシス発生率を高め得るかどうかを見出すため、卵巣卵胞電磁界による細胞レベルの変化を調べること。

詳細情報

雌のラット30匹を対照群ばく露群に分けた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 4 h/day for 4 months

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 4 h/day for 4 months
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 詳細不明
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 3 mT - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

対照群と比較して、ばく露ラット卵母細胞超微細構造の変化が見られた:透明帯が凝縮し、細くなった。顆粒膜細胞は凝縮し、卵母細胞または近隣の細胞との接触を失った。微絨毛の数が減少し、その細胞質では複数の脂肪滴及び細胞小器官が消失した。卵母細胞の核は形状が不揃いで、対照群のようには成長していなかった。基底膜付近の顆粒膜細胞アポトーシスの特徴(核の凝縮、核の形状の変化、オートファジー小胞及びアポトーシス招待の出現、近隣細胞からの分離)を示した。

本研究は、電磁界ばく露卵胞形成の正常なプロセスに干渉するかも知れないことを示唆している。

研究の種別:

研究助成

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