研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[マウスの生殖能力ならびに着床前段階の子宮内膜及び卵管の上皮細胞の高さに対する超低周波電磁界の影響] med./bio.

Effects of extremely low-frequency electromagnetic field on fertility and heights of epithelial cells in pre-implantation stage endometrium and fallopian tube in mice

掲載誌: Zhong Xi Yi Jie He Xue Bao 2010; 8 (1): 56-60

この研究は、マウスの着床前段階の子宮内膜および卵管における生殖能力および上皮細胞の高さに対する超低周波電磁界(ELF-EMF)の影響を調べた。80匹の雌NMRIマウスを無作為に2群に分けた。対照群にはEMFばく露を与えず、ばく露群は、50 Hz、0.5 mTのEMFばく露を、1日4時間、週6日で2週間受けた。両群のマウスを過剰排卵させ、雄のマウスと一晩交配させた。膣栓により妊娠が推定されたマウスにおいて着床時に子宮角をフラッシュすることにより胚盤胞が得られた。また、子宮角と卵管の試料を光学顕微鏡法で検査した。その結果:EMFばく露群でのフラッシュされた胚盤胞平均数は、対照群に比べ有意に減少した;光学顕微鏡検査では、卵管上皮細胞の高さが、対照群に比べ、EMFばく露群で有意に増加した;しかし、EMFばく露群の子宮内膜上皮細胞の高さは、対照群に比べ、わずかな増加を示したが有意ではなかった;以上の知見は、ELF-EMFが雌マウスの生殖器系に悪影響を与えることを示唆する、と報告している。

研究目的(著者による)

マウスの生殖能力ならびに着床前段階の子宮内膜及び卵管上皮細胞の高さに対する、超低周波電磁界(50Hz、0.5mT)の影響を調べること。

詳細情報

雌マウス80匹を対照群ばく露群に無作為に分けた。着床時に、妊娠が推定されるマウス(膣栓で判定)から、単離した(切除した)子宮角を洗浄して胚盤胞を得た。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 4 hr/day, 6 days/week for 2 weeks

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 4 hr/day, 6 days/week for 2 weeks
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 詳細不明
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.5 mT - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露群における洗浄した胚盤胞平均的な個数の分析では、対照群と比較して有意な減少が見られた。ばく露群の卵管上皮細胞の高さは、対照群よりも有意に増加した。但し、ばく露群の子宮内膜上皮細胞の高さには、対照群と比較して有意ではない増加が見られた。

著者らは、超低周波電磁界ばく露にはマウスの雌の生殖系に対し、胚盤胞の数の減少と卵管上皮細胞の高さの増加によって悪影響を及ぼす、と結論付けている。

研究の種別:

研究助成

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