研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[MCF-7乳がん細胞の電磁界ばく露はプラスミノーゲン活性化因子系を上方制御する] med./bio.

Exposure of mcf-7 breast cancer cells to electromagnetic fields up-regulates the plasminogen activator system

掲載誌: Int J Gynecol Cancer 2009; 19 (3): 334-338

この研究は、ヒト乳がん細胞株を用いて、50 Hz電磁界EMF)がプラスミノーゲン活性化因子システムへの妨害作用をもつか否かを調べた。異なる2つMCF-7 細胞に、極めて一様な50 Hz、1.2 µTのEMFのばく露を連続で48時間または96時間与えた。遺伝子発現の変化を逆転写PCR法で分析した。その結果、EMFばく露を受けたMCF-7細胞では、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子遺伝子およびプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1の発現が顕著に増加した;ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体発現は、2つのばく露細胞株のうちの1つでわずかに増加し、組織プラスミノーゲン活性化因子発現は、ばく露細胞株で少なくともわずかに減少した;以上の知見は、EMFが乳がん細胞の転移力を高めることがあるかもしれないことを示したが、さらに研究が必要である、と報告している。

研究目的(著者による)

2つの異なるMCF-7乳がん細胞株におけるプラスミノーゲン活性化因子系に対する低周波電磁界の影響を調べること。

詳細情報

プラスミノーゲン活性化因子系は、細胞基質の劣化(アポトーシスの多段階の重要なプロセス)に関与している。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 48 hr or 96 hr

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 48 hr or 96 hr
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 homogeneous field: variation less than 5 %; 75 cm long copper tube with a diameter of 30 cm, closed on either end with a copper plate; a bifiliar wire wrapped around the tube for heating; on top of this a second layer of wiring was wound and connected to a signal generator
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1.2 µT - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

1.2µT電磁界ばく露したMCF-7細胞では、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子遺伝子及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1の遺伝子発現が顕著に増加した。ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体遺伝子発現は、2つの細胞株のうちの一方のみで僅かに増加し、組織プラスミノーゲン活性化因子発現は、ばく露した乳がん細胞で僅かに下方制御された。

このデータは、環境中の電磁界プラスミノーゲン活性化因子系の重要な遺伝子発現を増加させることを示している。ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1の遺伝子発現の増加は、乳がん転移能をより高めるかも知れない。

研究の種別:

研究助成

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