研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[磁界への職業ばく露と脳腫瘍のリスク] epidem.

Occupational exposure to magnetic fields and the risk of brain tumors

掲載誌: Neuro Oncol 2009; 11 (3): 242-249

低周波磁界への職業ばく露神経膠腫および髄膜腫の危険との間の関連を調査研究した。磁界への職業ばく露は、病院を拠点とした患者対照研究に登録された489人の神経膠腫の患者、197人の髄膜腫の患者、および799人の実験対照者に対して評価された。すべての被験者に対して、職業履歴アンケートが実施された;職業の24%に対して、これらは、仕事での電動の道具や装置の使用に関する情報を得るための職務明細アンケートつまり“職業測定基準”が補われた。ミリガウス磁界へのばく露に対する職務明細定量推計が、職業測定基準に基づいた修正を加えた、以前に発表された職業ばく露マトリックス(JEM)を使って指定された。職業は、1.5mG以下、1.5mG~3.0mG、3.0mG以上の3つに分類された。4つのばく露指標が評価された:(1)最大ばく露職業;(2)1.5mGより大きいばく露の総年数;(3)累積生涯ばく露;および(4)平均生涯ばく露オッズ比(OR)が、年齢、性、および病院の場所が調整された無条件ロジスティック回帰を使って算出された。職業測定基準は、職業ばく露マトリックス(JEM)と比較して、3.0mG以上のばく露をもつ職業数を、4%から7%まで増加させた。分析された3つの腫瘍タイプに対する4つのばく露指標を使って、ORの統計的に重要な増加あるいはばく露カテゴリーを超えたORの動向は観察されなかった。職業測定基準を使って評価されたMFへの職業ばく露は、この研究で評価された被験者の間では、神経膠腫、グリア芽腫、髄膜腫への危険の増加には関連していなかった。

研究の目的(著者による)

超低周波磁界への職業ばく露神経膠腫及び髄膜腫リスクとの関連を調査するため、米国において病院ベースの症例対照研究を実施した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 最も曝露された職業: ≤ 0.15 µT
集団 2 最も曝露された職業: > 1.5 - 0.3 µT
集団 3 最も曝露された職業: ≥ 0.3 µT
参照集団 4 > 0.15 µTの期間: 0年
集団 5 > 0.15 µTの期間: > 0 - 15年
集団 6 > 0.15 µTの期間: > 15年
参照集団 7 生涯の平均: ≤ 0.15 µT
集団 8 生涯の平均: > 0.15 - 0.3 µT
集団 9 生涯の平均: ≥ 0.3 µT
参照集団 10 > 0.15 µTの累積ばく露: 0
集団 11 > 0.15 µTの累積ばく露: > 0 - 0.45 µT‐年
集団 12 > 0.15 µTの累積ばく露: > 0.45 µT‐年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 686 799
その他:

神経膠腫の患者489人(神経膠細胞芽腫の症例241人を含む)及び髄膜腫の患者197人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

超低周波磁界への職業ばく露神経膠腫及び髄膜腫の種類の脳腫瘍との関連は認められなかった。

研究助成

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