研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[英国の電力供給作業者における磁界と脳腫瘍のリスク] epidem.

Magnetic fields and brain tumour risks in UK electricity supply workers.

掲載誌: Occup Med (Lond) 2014; 64 (3): 157-165

この研究は、元のイングランド・ウェールズ中央電力発電局(Central Electricity Generating Board:CEGB)の被雇用者コホート73051人における脳腫瘍の発症調査により、低周波磁界への職業ばく露脳腫瘍の関連を調べた。このコホート(1952-82年に雇用開始され、1973-82年に短くとも6ヶ月間、何らかの職種に就いていた。)での1973-2010年における発症を調べた。1971-93年の就労履歴(5つの職種コード(監督者、技師/研究者、事務職、電力作業者、建設作業者)とそれぞれの就労期間)が利用可能であった。1952-94年のばく露評価は、各職種コードに相応するばく露レベルをその就労期間で重み付け加算した(71年以前については記録の最初の職種を当てはめた)。10年以上前のばく露に関する累積ばく露レベル、10年以内の累積ばく露レベル、両者を足し合わせた職業人生累積ばく露レベルの3つのばく露指標のカテゴリー別に、脳腫瘍神経膠腫髄膜腫)の発症率比(RR)を計算した。その結果、神経膠腫および全ての脳腫瘍合算のRRは、3つのばく露指標全てにおいて1に近いか、1以下であった;髄膜腫では、統計的に有意な量反応関係は見られなかったが、10年以前のばく露指標の高位カテゴリーでリスク上昇が若干示された、と報告している。

研究の目的(著者による)

脳腫瘍リスク低周波磁界への職業ばく露と関連しているかどうかを調査するため、英国においてコホート研究を実施した。本研究は、Soharan他(2001) の発表の更新版である。

詳細情報

10年以上前に受けたばく露(時間遅れのあるばく露)と10年以内に受けたばく露(引きずられたばく露)を合わせた生涯の累積職業ばく露を、各々の研究参加者について作成した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (相対リスク(RR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 磁界への生涯の累積職業ばく露: 0 - < 2.5 µT
集団 2 磁界への生涯の累積職業ばく露: 2.5 - < 5.0 µT
集団 3 磁界への生涯の累積職業ばく露: 5.0 - < 10.0 µT
集団 4 磁界への生涯の累積職業ばく露: 10.0 - < 20.0 µT
集団 5 磁界への生涯の累積職業ばく露: ≥ 20 µT
参照集団 6 occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 0 - < 2.5 µT
集団 7 occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 2.5 - < 5.0 µT
集団 8 occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 5.0 - < 10.0 µT
集団 9 occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): 10.0 - < 20.0 µT
集団 10 occupational exposure to magnetic fields received >10 years ago (lagged exposure): ≥ 20 µT
参照集団 11 occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 0 - < 2.5 µT
集団 12 occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 2.5 - < 5.0 µT
集団 13 occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 5.0 - < 10.0 µT
集団 14 occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): 10.0 - < 20.0 µT
集団 15 occupational exposure to magnetic fields received <10 years ago (lugged exposure): ≥ 20 µT

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 73,501
統計学的分析方法: ( 調整: )

結論(著者による)

神経膠腫及び脳腫瘍全般については、どのばく露カテゴリーでもリスク上昇は認められず、職業的な累積(あるは最近または以前の)磁界ばく露の増加に伴うリスクも示唆されなかった。髄膜腫については統計的に有意な量‐反応影響は認められなかったが、10年以上前に受けたばく露についての3つの最高カテゴリーにおけるリスク上昇の若干の証拠があった。
著者らは、磁界へのばく露神経膠腫についてのリスク要因であるという仮説を支持する証拠は認められず、この知見は以前の及び最近の磁界ばく露はどちらも神経膠腫と因果的に関連していないという仮説と一致する、と結論付けた。髄膜腫についての限定的な陽性の知見は偶然によるものかも知れない;がん登録データを用いた国の比較は、因果的解釈に反論している。

研究助成

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