研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[成人の白血病、脳のがん、筋萎縮性側索硬化症による死亡率と電力線からの磁界ばく露:ブラジルにおける症例対照研究] epidem.

Adult mortality from leukemia, brain cancer, amyotrophic lateral sclerosis and magnetic fields from power lines: a case-control study in Brazil.

掲載誌: Rev Bras Epidemiol 2011; 14 (4): 580-588

この研究では、ブラジルのサンパウロ首都圏において、自宅から最も近い架空送電線までの距離、および電力線からの磁界計算値と、白血病脳腫瘍筋萎縮性側索硬化症による死亡率との関連を評価した。解析は、白血病1, 857例、脳腫瘍2, 357例、筋萎縮性側索硬化症367例、対照症例として4, 706例を対象に行った。その結果、送電線から400m以上離れて暮らす人々に比べ、送電線までの距離が短い成人(50m以内)での白血病による死亡リスクの上昇(OR=1.47; 95% CI=0.99-2.18)、計算上の磁界が高い家に住んでいる成人(>0.3 μT)での僅かな白血病死亡率の増加(OR=1.61; 95% CI=0.91-2.86)が見られたと報告している。脳腫瘍筋萎縮性側索硬化症では、いずれもリスクの増加は見られなかったという。

研究の目的(著者による)

電力線からの磁界成人白血病、脳のがん及び筋萎縮性側索硬化症による死亡率との関連を調査するため、ブラジルにおいて死亡証明書に基づく症例対照研究を実施した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 磁界ばく露: ≤ 0.1 µT
集団 2 磁界ばく露: > 0.1 - ≤ 0.3 µT
集団 3 磁界ばく露: > 0.3 µT
参照集団 4 住居から電力線までの距離(全ての電流): > 400 m
集団 5 住居から電力線までの距離(全ての電流): > 200 - ≤ 400 m
集団 6 住居から電力線までの距離(全ての電流): > 100 - ≤ 200 m
集団 7 住居から電力線までの距離(全ての電流): > 50 - ≤ 100 m
集団 8 住居から電力線までの距離(全ての電流): ≤ 50 m
参照集団 9 住居から < 200kVの電力線までの距離: > 400 m
集団 10 住居から < 200kVの電力線までの距離: > 200 - ≤ 400 m
集団 11 住居から < 200kVの電力線までの距離: > 100 - ≤ 200 m
集団 12 住居から < 200kVの電力線までの距離: > 50 - ≤ 100 m
集団 13 住居から < 200kVの電力線までの距離: ≤ 50 m

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 4,990 4,990
参加者 4,581 4,706
その他:

白血病の症例1857人、脳のがん2357人、筋萎縮性側索硬化症367人

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

送電線に最も近くに住む成人では、400m以遠に住む人々と比較して、白血病による死亡の統計的に有意でないリスク上昇が認められた。電力線から50m以内に住む被験者については、リスクはより高かった(OR 1.47;CI 0.99-2.18)。同様に、磁界ばく露の計算値が> 0.3µTの住居に住む成人について、統計的に有意ではない小さなリスク上昇が認められた(OR 1.61;CI 0.91-2.86)。
脳腫瘍または筋萎縮性側索硬化症についてのリスク上昇は認められなかった。
著者らは、これらの知見は、送電線の近くに住む被験者、及び、磁界計算値がより高い住居にすむ人々では、白血病リスクがより高いことを示唆している、と結論付けている。但し、このリスク電圧が< 200kVの線に限定される。

研究の限界(著者による)

超低周波磁界への職業ばく露についての情報は得られず、分析に含めることができなかった。

研究助成

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