研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と悪性脳腫瘍のリスク:死亡した症例と対照についての症例対照研究] epidem.

Mobile Phone Use and the Risk for Malignant Brain Tumors: A Case-Control Study on Deceased Cases and Controls.

掲載誌: Neuroepidemiology 2010; 35 (2): 109-114

この研究は、死亡した症例における携帯電話またはコードレス電話の使用と悪性脳腫瘍リスクについて調査した。著者は、先の研究で死亡症例を除外するか、死亡症例を生存中の対照とマッチさせているので、死亡症例を死亡対照とマッチさせた研究を行う価値があると考えている。また、死亡症例やがんを持つ対照を用いる場合は、想起バイアスの影響は低下すると述べている。今回の研究は、著者の先の研究前に死亡した、1997年から2003年の間に脳腫瘍診断された20歳から80歳の症例346人(親族に郵送した調査票への回答数;回答率74%)と、脳腫瘍以外のがんを死因とする対照343人(同74%)、その他の死因の対照276人(同60%)が回答した無線電話使用について分析した。その結果、携帯電話の10年以上使用者のオッズ比OR)は 2.4(95%信頼区間:1.4-4.1)であった;携帯電話の生涯累積使用時間数とともにリスクは増大し、2,000時間以上のグループのOR は3.4(1.6-7.1)であった;コードレス電話については、使用との明確な関連は見られなかったが、累積使用時間が2,000時間以上のグループのOR は1.7(0.8-3.4)であった、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話またはコードレス電話の使用と悪性脳腫瘍リスクとの関連を調査するため、スウェーデンにおいて死亡した症例と対照についての症例対照研究を実施した。

詳細情報

本研究で分析した症例は、携帯電話使用についてのインタビューを受ける前に死亡していたため、Hardell他、2006 の論文では除外されていた。

症例及び対照のばく露は、近親者(配偶者、子ども、親、兄弟姉妹またはその他の親族)に宛てたアンケートによって評価した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露
集団 2 アナログ携帯電話使用 > 1から5年
集団 3 アナログ携帯電話使用 > 5から10年
集団 4 アナログ携帯電話使用 > 10年
集団 5 アナログ携帯電話使用 > 1年(グループ2+3+4)
集団 6 ≤ 149時間のアナログ携帯電話使用 > 1から5年
集団 7 ≤ 149時間のアナログ携帯電話使用 > 5から10年
集団 8 ≤ 149時間のアナログ携帯電話使用 > 10年
集団 9 ≤ 149時間のアナログ携帯電話使用 > 1年
集団 10 > 149時間のアナログ携帯電話使用 > 1から5年
集団 11 > 149時間のアナログ携帯電話使用 > 5から10年
集団 12 > 149時間のアナログ携帯電話使用 > 10年
集団 13 > 149時間のアナログ携帯電話使用 > 1年
集団 14 デジタル携帯電話使用 > 1から5年
集団 15 デジタル携帯電話使用 > 5から10年
集団 16 デジタル携帯電話使用 > 10年
集団 17 デジタル携帯電話使用 > 1年
集団 18 ≤ 183時間のデジタル携帯電話使用 > 1から5年
集団 19 ≤ 183時間のデジタル携帯電話使用 > 5から10年
集団 20 ≤ 183時間のデジタル携帯電話使用 > 10年
集団 21 ≤ 183時間のデジタル携帯電話使用 > 1年
集団 22 > 183時間のデジタル携帯電話使用 > 1から5年
集団 23 > 183時間のデジタル携帯電話使用 > 5から10年
集団 24 > 183時間のデジタル携帯電話使用 > 10年
集団 25 > 183時間のデジタル携帯電話使用 > 1年
集団 26 携帯電話(アナログ及びデジタル)使用 > 1から5年
集団 27 携帯電話使用 > 5から10年
集団 28 携帯電話使用 > 10年
集団 29 携帯電話使用 > 1年
集団 30 ≤ 176時間の携帯電話使用 > 1から5年
集団 31 ≤ 176時間の携帯電話使用 > 5から10年
集団 32 ≤ 176時間の携帯電話使用 > 10年
集団 33 ≤ 176時間の携帯電話使用 > 1年
集団 34 > 176時間の携帯電話使用 > 1から5年
集団 35 > 176時間の携帯電話使用 > 5から10年
集団 36 > 176時間の携帯電話使用 > 10年
集団 37 > 176時間の携帯電話使用 > 1年
集団 38 コードレス電話使用 > 1から5年
集団 39 コードレス電話使用 > 5から10年
集団 40 コードレス電話使用 > 10年
集団 41 コードレス電話使用 > 1年
集団 42 ≤ 548時間のコードレス電話使用 > 1から5年
集団 43 ≤ 548時間のコードレス電話使用 > 5から10年
集団 44 ≤ 548時間のコードレス電話使用 > 10年
集団 45 ≤ 548時間のコードレス電話使用 > 1年
集団 46 > 548時間のコードレス電話使用 > 1から5年
集団 47 > 548時間のコードレス電話使用 > 5から10年
集団 48 > 548時間のコードレス電話使用 > 10年
集団 49 > 548時間のコードレス電話使用 > 1年
集団 50 携帯電話+コードレス電話使用 > 1から5年
集団 51 携帯電話+コードレス電話使用 > 5から10年
集団 52 携帯電話+コードレス電話使用 > 10年
集団 53 携帯電話+コードレス電話使用 > 1年
集団 54 ≤ 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 1から5年
集団 55 ≤ 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 5から10年
集団 56 ≤ 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 10年
集団 57 ≤ 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 1年
集団 58 > 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 1から5年
集団 59 > 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 5から10年
集団 60 > 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 10年
集団 61 > 410時間の携帯電話+コードレス電話使用 > 1年
集団 62 アナログ携帯電話、生涯の累積使用:1 - 1000時間
集団 63 アナログ携帯電話、生涯の累積使用:1001 - 2000時間
集団 64 アナログ携帯電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 65 デジタル携帯電話、生涯の累積使用:1 - 1000時間
集団 66 デジタル携帯電話、生涯の累積使用:1001 - 2000時間
集団 67 デジタル携帯電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 68 携帯電話、生涯の累積使用:1 - 1000時間
集団 69 携帯電話、生涯の累積使用:1001 - 2000時間
集団 70 携帯電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 71 コードレス電話、生涯の累積使用:1 - 1000時間
集団 72 コードレス電話、生涯の累積使用:1001 - 2000時間
集団 73 コードレス電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 74 携帯電話+コードレス電話、生涯の累積使用:1 - 1000時間
集団 75 携帯電話+コードレス電話、生涯の累積使用:1001 - 2000時間
集団 76 携帯電話+コードレス電話、生涯の累積使用: > 2000時間

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
参加者 346 619
参加率 75 % 67 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

死亡した携帯電話ユーザーに、統計的に有意な悪性脳腫瘍リスク上昇が認められた(グループ4のアナログ携帯電話のみ、グループ28のアナログ及びデジタル携帯電話、グループ16のデジタル携帯電話(症例2人のみ、対照なし、ORの計算不能)、携帯電話使用が176時間超、潜伏期間が10年超のグループ(グループ36)で最も高かった)。コードレス電話については統計的に有意なリスク上昇は認められなかった(グループ38-49)。
著者らは、本調査は携帯電話使用と悪性脳腫瘍との関連についての先行研究の結果を確認した、と結論付けた。

研究の限界(著者による)

デジタル携帯電話を10年超使用していた被験者は極少数であった。

研究助成

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