研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と腫瘍疾患との関連性についての疫学的証拠] epidem.

Epidemiological evidence for an association between use of wireless phones and tumor diseases

掲載誌: Pathophysiology 2009; 16 (2-3): 113-122

この研究は、症例対照研究において得られた、携帯電話の長期使用と特定の腫瘍との関連に関する科学的証拠を評価することを目的に、スウェーデンのHardellグループ(この論文の著者)およびInterphone研究グループが実施した研究をメタ分析した。その結果、神経膠腫オッズ比OR)は1.0(95 %信頼区間(CI): 0.9 - 1.1)であった;10年使用者群でのORは1.3(95 % CI: 1.1 - 1.6)に増加した;使用頭側に関しては、同側使用者のORは1.9(95 % CI: 1.4 - 2.4)で、反対側使用者では1.2(95 %CI: 0.9 - 1.7)であった;聴神経腫について同上の順で示すと、OR = 1.0(95 % CI: 0.8 - 1.1)、OR = 1.3(95 % CI: 0.97 - 1.9)、OR = 1.6(95 % CI:1.1 - 2.4)、OR = 1.2(95 % CI: 0.8 - 1.9)であった;髄膜腫に関しては、リスク増加の一貫したパターンは見られなかった、と報告している。しかし、2つの全く品質の異なる症例対照研究を無造作にプールしている点についての考察は示されていない。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用と脳腫瘍ならびにその他の種類の腫瘍との間にあるかも知れない関連をメタ分析で調査した。これは、最近発表されたメタ分析Hardell他、2008)の更新版である。

詳細情報

以下の研究を対象とした:
Inskip他、2001Auvinen他、2002Lönn他、2004Christensen他、2004Hardell他、2004Hardell他、2004Hardell他、2005Schoemaker他、2005Lönn他、2005Christensen他、2005Hepworth他、2006Schüz他、2006Lönn他、2006Hardell他、2006Takebayashi他、2006Lahkola他、2007Hours他、2007Schlehofer他、2007Klaeboe他、2007Sadetzki他、2008Takebayashi他、2008、及びLahkola他、2008

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露
集団 2 定常的な携帯電話使用
集団 3 定常的な携帯電話使用: > 10年
集団 4 同側での定常的な携帯電話使用: > 10年
集団 5 反対側での定常的な携帯電話使用: > 10年

調査対象集団

統計学的分析方法:

結論(著者による)

全体として、携帯電話使用に関連した神経膠腫リスク上昇は認められなかった。但し、神経膠腫リスク有意な上昇が、10年間の潜伏期間について認められ(OR 1.3、CI 1.1-1.6)、同側使用についてはORは1.9(CI 1.4-2.4)に上昇した。全体として、携帯電話使用に関連した聴神経鞘腫リスク上昇は認められなかった。但し、聴神経鞘腫リスク有意な上昇が、10年間の潜伏期間と同側使用について認められた(OR 1.6、CI 1.1-2.4)。髄膜腫リスク上昇と携帯電話使用との関連は認められなかった。コードレス電話使用と唾液腺腫瘍非ホジキンリンパ腫精巣がんとの関連の一貫したパターンは認められなかった。手法上の欠点のため、目の悪性黒色腫及び側頭内顔面神経腫瘍についての本研究の知見は限定的である。
著者らは、彼らのレビューでは10年超の携帯電話使用後の神経膠腫及び聴神経鞘腫リスク上昇の一貫したパターンが示された、と結論付けた。

研究の限界(著者による)

この結果は長期的なユーザーの少ない数に基づいている。

研究助成

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