研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[悪性脳腫瘍と携帯電話及びコードレス電話の使用についての存命及び死亡した被験者を含む症例対照研究のプール分析] epidem.

Pooled analysis of case-control studies on malignant brain tumours and the use of mobile and cordless phones including living and deceased subjects.

掲載誌: Int J Oncol 2011; 38 (5): 1465-1474

【目的】携帯電話およびコードレス電話使用と悪性脳腫瘍の関連を調べること。【方法】分析に含めたのは、2件の生存者調査(1997-2003に診断された悪性脳腫瘍症例とマッチされた対照で、調査時点で生存していた対象者に関する症例対照研究)と1件の死亡者調査(同一期間に悪性脳腫瘍診断された症例で、調査時点では死亡していた症例と死亡登録から選出された対照に関する症例対照研究)。症例と対照、および死亡者の親族に、構造化された質問紙を用いてインタビューを実施した。【結果】回答数(回答率)は、症例が1251 (85%)、対照が2438 (84%)であった。リスクは、潜伏期(著者は、携帯電話使用開始時点と診断時点との期間を潜伏期と定義している)および累積使用時間とともに上昇した。神経膠種、星状細胞腫で最も大きなリスク上昇がみられ、>10年の潜伏期間群では、携帯電話使用のオッズ比OR)は2.7(95%信頼区間:1.9-3.7)、コードレス電話使用のORは1.8(同:1.2-2.9)であった。神経膠種に関して電話の種類はそれぞれ独立のリスク要因であった。星状細胞腫リスクは、20歳以前に使用開始した群において最も高かった(携帯電話使用の場合:OR=4.9(同:2.2-11)、コードレス電話使用の場合:OR=3.9(同:1.7-8.7))。【結論】神経膠種と携帯電話またはコードレス電話使用に関し、リスク上昇が見られた。リスクは、潜伏期および累積使用時間とともに上昇し、20歳以前に使用開始した群において最も高かった。

研究の目的(著者による)

携帯電話及びコードレス電話使用と悪性脳腫瘍リスクについての3報の症例対照研究プール分析をスウェーデンにおいて実施した。

詳細情報

Hardell他(2006)では、携帯電話使用についてインタビューを受ける前に死亡した症例は除外されていたが、このことがバイアスにつながったかもしれない。このため、このプール分析では、1997-2003年の存命及び死亡した全ての症例を含む以下の研究を含めた:
1997-2000年の期間についての最初の症例対照研究は、publications 9520 及び 9895 に、2000-2003年の期間についての第二の研究は publications 12068 及び 12259 に、1997-2003年の期間における死亡した症例と対照についての第三の研究は publication 18358 に報告されている。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露:携帯電話またはコードレス電話の使用なし、あるいは1年未満の使用
集団 2 携帯+コードレス電話使用 ≤ 195時間、 > 1 - 5年
集団 3 携帯+コードレス電話使用 ≤ 195時間、 > 5 - 10年
集団 4 携帯+コードレス電話使用 ≤ 195時間、 > 10年
集団 5 携帯+コードレス電話使用 ≤ 195時間、 全体、> 1年
集団 6 携帯+コードレス電話使用 > 195時間、 > 1 - 5年
集団 7 携帯+コードレス電話使用 > 195時間、 > 5 - 10年
集団 8 携帯+コードレス電話使用 > 195時間、 > 10年
集団 9 携帯+コードレス電話使用 > 195時間、 全体、> 1年
集団 10 携帯電話使用 ≤ 74時間、 > 1 - 5年
集団 11 携帯電話使用 ≤ 74時間、 > 5 - 10年
集団 12 携帯電話使用 ≤ 74時間、 > 10年
集団 13 携帯電話使用 ≤ 74時間、 全体、> 1年
集団 14 携帯電話使用 > 74時間、 > 1 - 5年
集団 15 携帯電話使用 > 74時間、 > 5 - 10年
集団 16 携帯電話使用 > 74時間、 > 10年
集団 17 携帯電話使用 > 74時間、 全体、> 1年
集団 18 携帯電話使用 ≤ 243時間、 > 1 - 5年
集団 19 携帯電話使用 ≤ 243時間、 > 5 - 10年
集団 20 携帯電話使用 ≤ 243時間、 > 10年
集団 21 携帯電話使用 ≤ 243時間、 全体、> 1年
集団 22 携帯電話使用 > 243時間、 > 1 - 5年
集団 23 携帯電話使用 > 243時間、 > 5 - 10年
集団 24 携帯電話使用 > 243時間、 > 10年
集団 25 携帯電話使用 > 243時間、全体、> 1年
集団 26 携帯+コードレス電話、生涯の累積使用: 1 - 1000時間
集団 27 携帯+コードレス電話、生涯の累積使用: 1001 - 2000時間
集団 28 携帯+コードレス電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 29 携帯電話、生涯の累積使用: 1 - 1000時間
集団 30 携帯電話、生涯の累積使用: 1001 - 2000時間
集団 31 携帯電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 32 コードレス電話、生涯の累積使用: 1 - 1000時間
集団 33 コードレス電話、生涯の累積使用: 1001 - 2000時間
集団 34 コードレス電話、生涯の累積使用: > 2000時間
集団 35 携帯+コードレス電話使用、> 1 - 5年
集団 36 携帯+コードレス電話使用、> 5 - 10年
集団 37 携帯+コードレス電話使用、> 10年
集団 38 携帯+コードレス電話使用、全体、> 1年
集団 39 携帯電話使用、> 1 - 5年
集団 40 携帯電話使用、> 5 - 10年
集団 41 携帯電話使用、> 10年
集団 42 携帯電話使用、全体、> 1年
集団 43 コードレス電話使用、> 1 - 5年
集団 44 コードレス電話使用、> 5 - 10年
集団 45 コードレス電話使用、> 10年
集団 46 コードレス電話使用、全体、> 1年
集団 47 携帯+コードレス電話使用、最初の使用が < 20歳
集団 48 携帯+コードレス電話使用、最初の使用が20 - 49歳
集団 49 携帯+コードレス電話使用、最初の使用が ≥ 50歳
集団 50 携帯電話使用、最初の使用が < 20歳
集団 51 携帯電話使用、最初の使用が20 - 49歳
集団 52 携帯電話使用、最初の使用が ≥ 50歳
集団 53 コードレス電話使用、最初の使用が < 20歳
集団 54 コードレス電話使用、最初の使用が20 - 49歳
集団 55 コードレス電話使用、最初の使用が ≥ 50歳

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 1,472 2,900
参加者 1,251 2,438
参加率 85 % 84 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

このプール分析の主な結果は、悪性脳腫瘍リスク上昇と携帯電話及びコードレス電話使用である。最も高いリスクが認められた。最も一般的な種類の神経膠腫星状細胞腫についての最も高いリスクが、携帯電話使用(OR 2.7、CI 1.9-3.7)及びコードレス電話使用(OR 1.8、CI 1.2-2.9)についての潜伏期間が>10年のグループに認められた。星状細胞腫についてのリスクは、20歳以前に携帯電話OR 4.9、CI 2.2-11)またはコードレス電話OR 3.9、CI 1.7-8.7)を最初に使用したグループで最も高かった。
著者らは、悪性脳腫瘍リスク携帯電話及びコードレス電話潜伏期間及び累積使用時間に伴って上昇し、20歳以前に最初に使用した被験者で最も高かった、と結論付けた。

研究助成

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