研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電離放射線、携帯電話と脳腫瘍のリスク] epidem.

Ionizing radiation, cellular telephones and the risk for brain tumours

掲載誌: Eur J Cancer Prev 2001; 10 (6): 523-529

この研究は、脳腫瘍に関する症例対照研究である。症例は、20〜80歳の、調査時点で生存している233人の組織病理学的確定診断された脳腫瘍患者で、ウプサラ-オレブロ地域(1994-1996)またはストックホルム地域(1995-1996)に居住していた。対照は、各症例と1:2でマッチされて、スウェーデンの人口登録簿から選出された。質問票調査の回答率は、症例が200人(90%)、対照が425人(91%)であった。その結果、化学産業就労者のオッズ比OR)は4.10、95%信頼区間(95%CI)1.25-13.4;実験室就労者のORは3.21、95%CI 1.16-8.85;頭頸部の放射線療法の経験者では、ORは3.61、95%CI 0.65-19.9;同領域の診断用X線検査の経験者では、ORは1.64、95%CI 1.04-2.58;医師を職業としている人では、ORは6.00、95%CI 0.62-57.7(このカテゴリーに属する症例は3人で、全員、蛍光透視法を用いた仕事をしていた);携帯電話の同側使用のORは2.42、95%CI 0.97-6.05)であった、と報告している。

研究の目的(著者による)

本研究では、脳腫瘍リスク携帯電話使用、電離放射線被ばく及び職業ばく露についての、スウェーデンの症例対照研究(see publication 1015)のデータベースの更なる分析を実施した。

詳細情報

更に、同じ症例対照研究publication 1015)のデータベースについての追加的な、同様の分析が、 publication 6110 にある。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
集団 1 腫瘍部位の脳半球、同側での携帯電話使用
集団 2 腫瘍部位の脳半球、反対側での使用
集団 3 腫瘍部位の脳半球、同側及び反対側での使用
集団 4 腫瘍部位、前頭、前頭頭頂、頭頂、または頭頂後頭、同側使用
集団 5 腫瘍部位、前頭、前頭頭頂、頭頂、または頭頂後頭、反対側使用
集団 6 腫瘍部位、前頭、前頭頭頂、頭頂、または頭頂後頭、同側及び反対側使用
集団 7 腫瘍部位、側頭、後頭または側頭頭頂、同側使用
集団 8 腫瘍部位、側頭、後頭または側頭頭頂、反対側使用
集団 9 腫瘍部位、側頭、後頭または側頭頭頂、同側及び反対側使用

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 270 -
連絡担当者 233 466
参加者 217 439
評価可能 209 425
統計学的分析方法:

結論(著者による)

EMF-Portalでは電磁界へのばく露に関する結果のみを一覧に示す。
超低周波電磁界への潜在的ばく露がある職業(例:電気技師、エレクトロニクス工事、通信工事)と脳腫瘍リスクとの関連は認められなかった。ビデオディスプレイ使用はリスクを上昇させなかった。マイクロ波ばく露量が最も高い解剖学的部位における携帯電話の同側使用について、脳腫瘍リスク上昇が認められた。

研究の限界(著者による)

携帯電話ばく露についての結果は少ない数(症例13人)に基づいており、注意して解釈すべきである。

研究助成

この論文に対するコメント

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