研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話及びコードレス電話と脳腫瘍のリスク] epidem.

Cellular and cordless telephones and the risk for brain tumours

掲載誌: Eur J Cancer Prev 2002; 11 (4): 377-386

この研究は、脳腫瘍の発生リスク携帯電話およびコードレス電話の使用との関連を調べた症例対照研究である。症例は、1997年1月1日から2000年6月30日までに診断された男女の20〜80歳の1,617人の脳腫瘍患者である。対照は、各症例に1:1でマッチさせて、スウェーデンの人口登録簿から選出された。調査地域は、スウェーデンのウプサラ・オレブロ、ストックホルム、リンシェーピング、ヨーテボリの医療地域である。ばく露評価は、質問票調査によった(回答率は、症例1,429人(88%)、対照1,470人(91%))。その結果、全体として、アナログ携帯電話の使用はリスク上昇させ、そのオッズ比OR)= 1.3、95%信頼区間(CI)= 1.04-1.6であった;腫瘍誘発期間が10年を超えると、リスクはさらに上昇し、OR=1.8(95%CI 1.1-2.9)となった;デジタルおよびコードレス電話では明確な関連は見られなかった;同側使用については、側頭葉腫瘍リスクが上昇し、アナログ電話でOR = 2.5、95%CI = 1.3-4.9であった;反対側使用ではリスク上昇が見られなかった;さまざまな腫瘍タイプ別で見ると、最も高いリスクは、アナログ携帯電話使用における聴神経鞘腫OR= 3.5、95%CI 1.8-6.8)であった、と報告している。[JEIC注記:この著者は、この研究(FEMU ID:9105)と同じ調査データを用いたと思われる分析結果を他にも報告している(例えばFEMU ID:9361および9520)。]

研究の目的(著者による)

脳腫瘍リスク携帯電話及びコードレス電話使用を調査するため、スウェーデンにおいて人口ベース症例対照研究を実施した。

詳細情報

同じ症例対照研究のデータベースの更なる分析が、publications 9520936111953 、及び 12393 に発表されている。
診断前の1年以内に携帯電話またはコードレス電話の使用を開始した被験者は非ばく露と分類した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 非ばく露
集団 2 アナログ、450MHz、潜伏期間 > 1年
集団 3 アナログ、450MHz、潜伏期間 > 5年
集団 4 アナログ、450MHz、潜伏期間 > 10年
集団 5 アナログ、900MHz、潜伏期間 > 1年
集団 6 analog, 900 MHz, > 5 years latency
集団 7 アナログ、900MHz、潜伏期間 > 10年
集団 8 アナログ、全て、潜伏期間 > 1年
集団 9 アナログ、全て、潜伏期間 > 5年
集団 10 アナログ、全て、潜伏期間 > 10年
集団 11 アナログ、≤ 85時間、潜伏期間 > 1年
集団 12 アナログ、≤ 85時間、潜伏期間 > 5年
集団 13 アナログ、≤ 85時間、潜伏期間 > 10年
集団 14 アナログ、< 85時間、潜伏期間 > 1年
集団 15 アナログ、< 85時間、潜伏期間 > 5年
集団 16 アナログ、< 85時間、潜伏期間 > 10年
集団 17 デジタル、全て、潜伏期間 > 1年
集団 18 デジタル、全て、潜伏期間 > 5年
集団 19 デジタル、全て、潜伏期間 > 10年
集団 20 デジタル、≤ 55時間、潜伏期間 > 1年
集団 21 デジタル、≤ 55時間、潜伏期間 > 5年
集団 22 デジタル、≤ 55時間、潜伏期間 > 10年
集団 23 デジタル、< 55時間、潜伏期間 > 1年
集団 24 デジタル、< 55時間、潜伏期間 > 5年
集団 25 デジタル、< 55時間、潜伏期間 > 10年
集団 26 コードレス、全て、潜伏期間 > 1年
集団 27 コードレス、全て、潜伏期間 > 5年
集団 28 コードレス、全て、潜伏期間 > 10年
集団 29 コードレス、≤ 183時間、潜伏期間 > 1年
集団 30 コードレス、≤ 183時間、潜伏期間 > 5年
集団 31 コードレス、≤ 183時間、潜伏期間 > 10年
集団 32 コードレス、< 183時間、潜伏期間 > 1年
集団 33 コードレス、< 183時間、潜伏期間 > 5年
集団 34 コードレス、< 183時間、潜伏期間 > 10年

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 1,617 -
連絡担当者 1,617 1,617
参加者 1,429 1,470
参加率 88 % 91 %
評価可能 1,303 1,470
その他:

統計的分析に1303組のペアを用いた。

統計学的分析方法:

結論(著者による)

症例の17.3%、対照の14.8%がアナログ携帯電話使用、症例の29.6%、対照の29.5%がデジタル携帯電話使用、症例の28.1%及び対照の26.9%がコードレス電話使用を報告した。脳腫瘍リスク上昇とアナログ携帯電話使用との関連が認められた。デジタル携帯電話及びコードレス電話については、5年以内の潜伏期間で、全体として有意なリスク上昇は認められなかった。

研究の限界(著者による)

使用期間の中央値は、デジタル携帯電話について3年、コードレス電話について5年、アナログ携帯電話について7年であった。

研究助成

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