研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[プレインキュベートしたWhite Leghorn種のニワトリ胚の肝臓に対する電磁界の影響についての組織病理学的及び超微細構造の研究] med./bio.

Histopathological and ultrastructural studies on the effects of electromagnetic fields on the liver of preincubated white leghorn chicken embryo

掲載誌: Electromagn Biol Med 2009; 28 (4): 391-413

この研究は、50 Hz磁界ばく露を受けた後、プレインキュベートされた白色レグホンニワトリの胚の肝臓に、組織病理学的および超微細構造的変化が生じるか否かを調べた。いくつかの先行研究を参考にして、最も効果が高いと考えられた磁束密度(1.33、2.66、5.52、および7.32 mT)で実験を行った。150個の健康で新鮮な有精卵(55 - 65 グラム)を、4つのばく露群(各n = 30)、対照群(n = 60)、および擬似ばく露群(n = 50)の 6群に分けた。各ばく露群は上記の4つのうちの一つの磁束密度でのばく露を、インキュベーションの24時間前に受けた。その後、対照群擬似ばく露群、および4つのばく露群は、孵卵器(38±0.5 ℃、湿度60 %)で17日間インキュベートされた。この期間の終わりに各群の肝臓の検査試料を調製し、光および透過型電子顕微鏡(TEMおよびSEM)検査を行った。その結果、ばく露群では以下のような影響が見られた;形態学的観察では、外脳症、非対称の顔、交差したくちばし、短い上くちばし、変形した後肢、胃骨格症、無眼球症、および小眼球症が見られた;H&Eおよびレチクリン染色を用いたTEMSおよびSEM検査では、肝細胞に、線維性バンド、重度の脂肪肝炎空胞化、腫れおよび非常に電子密度の高いミトコンドリアミトコンドリア膜のクリステの変化等々の変化が見られた、と報告している。

研究目的(著者による)

電磁界が、プレインキュベートしたニワトリ胚の肝臓において組織病理学的及び超微細構造の変化を発動させる環境因子となり得るかどうかを調べること。

詳細情報

受精卵150個(55-65g)を6群に分けた:ばく露群(1-4、n=30)、対照群(n=60)、偽ばく露群(n=50)。実験的ばく露群は4つの異なる磁束密度(1.33、2.66、5.52、7.32mT)にばく露した。ばく露または偽ばく露後、卵を17日間インキュベートした。

EMF-Portal注記:本論文では、残り10個のニワトリ胚がどのグループに属すのか述べられていない(あるいは、ばく露群が40個だったのか?!)

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 24 hr

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 24 hr
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 42 cm long cylindrical coil with an inner diameter of 9.6 cm, an outer diameter of 11.5 cm and 980 turns of 2.5 mm enameled copper wire
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1.33 mT - 計算値 - group 1
磁束密度 2.66 mT - 計算値 - group 2
磁束密度 5.52 mT - 計算値 - group 3
磁束密度 7.32 mT - 計算値 - group 4

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露群の形態学的観察では、無脳症、非対称の顔面、くちばしの交差、短い上くちばし、四肢の変形、胃壁破裂、無眼球症、小眼球症が示された。

肝臓顕微鏡検査では、電磁界ばく露幹細胞に各種の変化を多数生じることが示された(例:重度の脂肪肝炎空胞変性ミトコンドリアの変化、核の変化、肝細胞の変性異常脂質蓄積)。

著者らは、電磁界による細胞損傷の原因は、酸素ラジカル産出の増加とその後の細胞膜の攪乱であると示唆している。

研究の種別:

研究助成

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