研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study, observational study)

[職業ばく露されたヒト及びマウスの免疫系に対する電磁界の影響] med./bio.

Effects of electromagnetic fields on the immune systems of occupationally exposed humans and mice.

掲載誌: Arch Environ Health 2003; 58 (11): 712-717

著者らは、環境電磁界に職業的にさらされている6人での免疫疾患の調査研究を行った。同様の環境でばく露されたマウスに対する同等効果も調べられた。ヒト被験者は、上方に変圧器と高圧線が設置された、0.2~6.6μTの低周波電磁界のある実験室で、5年間にわたり1日8時間作業した。6人の対照被験者(社会経済的状況、性、年齢をマッチングさせ)は、変圧器と高圧線の近接場所から離れて作業した。執筆者は、統計的に有意な、低い総リンパ球CD4、およびCD3数を見出し、さらに、対照者に比べばく露被験者で、ナチュラルキラー(NK)細胞が著しく増加したことを発見した。ばく露中止後6ヶ月、総リンパ球は増加し、CD4CD3、およびCD19数も増加した(それぞれ、+13%、+28%、+22%、および+17%)。そして、NK細胞は同じ被験者において26%減少した(有意ではない)。この研究の第2部では、ケージに入れられた12匹のオスのSwissマウスが、ヒト被験者ばく露された(例、5μT、50Hz磁界)同じ部屋で109日間にわたりばく露された;非ばく露対照群として、12匹のマウスが加えられた。109日間ばく露されたマウスの総リンパ球白血球、多形核好中球CD4、NK数は、対照マウスと比べ著しく低かった。さらに、血漿グルコース量(30日で)とアミラーゼ活性(109日で)は著しく低かったが、一方、血漿ナトリウム塩化物レベルは109日で著しく上昇した。研究結果は、0.2μT~6.6μT磁界への慢性ばく露は、人およびマウス双方において、免疫学的パラメーター(総リンパ球とCD4数)の減少を引き起こし得ることを示唆している。ばく露が終了した時点での、ある数値の増加は、電磁界へのばく露との因果関係を示唆している。ちょうど、マウスにおける変化、特に、総リンパ球とCD4数における変化のように。

研究目的(著者による)

13人の被験者超低周波電磁界ばく露した先行研究(publication 1968)で、著者らはリンパ球CD4、CD3及びCD2の数の有意な減少、ならびにナチュラルキラー細胞の増加を見出した。

この研究の終了の6か月後、同じ被験者のうち6人について、血液学的及び免疫学的パラメータを再度測定し、結果を前の値と比較した。本研究の第一の狙いは、職業ばく露の停止後の血液学的数値の進展を調べることであった。第二の狙いは、動物に対する電磁界の同様の影響に関する議論に対処することであった(ヒト被験者が109日間ばく露されたのと同じ部屋でマウスをばく露)。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 8 h/day for 5 years
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: repeated daily exposure for 109 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 8 h/day for 5 years
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • transformers, 13 kV high voltage bus bars and a power generator
ばく露装置の詳細 The subjects worked in a laboratory located above the transformers, 13 kV high voltage bus bars and a power generator
Additional information The measurements were preformed at 3 h intervals when the transformers were functioning normally. Control subjects worked in the same building as those exposed, doing the same type of work, but located 50 m away from the transformers and high voltage bus bars.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 200 nT minimum 測定値 - at the floor level
磁束密度 6,600 nT maximum 測定値 - at the floor level
磁束密度 300 nT minimum 測定値 - to at 1.5 m above the floor
磁束密度 1,500 nT maximum 測定値 - to at 1.5 m above the floor
電界強度 1 V/m minimum 測定値 - -
電界強度 220 mV/cm maximum 測定値 - -

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • electric field
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 repeated daily exposure for 109 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • transformers, 13 kV high voltage bus bars and a power generator
ばく露装置の詳細 mice were housed in standard plastic cages (4 mice/cage) which were placed directly on the floor in the same laboratory loacted above the transformers and high voltage bus bars.
Additional information Control mice were housed in the same standard plastic cages and kept in an animal exposure facility under identical light and temperature conditions.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 2.5 V/m unspecified 測定値 - -
磁束密度 5 µT unspecified 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露停止の6か月後、全リンパ球数、CD4CD3、CD19の数は増加した(ぞれぞれ+13%、+28%、+22%、+17%)。同じヒト被験者ナチュラルキラー細胞数は26%減少した(有意ではない)。

ばく露マウスの109日目の全リンパ球白血球CD4ナチュラルキラー細胞の数は、対照群よりも有意に低かった。加えて、血漿グルコースレベル(30日目)及びアミラーゼ活性(109日目)は有意に低く、109日目の血漿ナトリウム及び塩化物レベルは有意に高かった。

本研究からのデータは、0.2-6.6µTの磁界への慢性ばく露は、ヒト及びマウスの両方において、免疫学的パラメータの減少につながり得ることを示唆している。

(評価者の備考:地磁気の磁束密度は約30-60µT)

研究の種別:

研究助成

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