研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[50Hz磁界への慢性的なばく露は老齢ラットの脳における抗酸化防御系の有意な弱化を引き起こす] med./bio.

Chronic exposure to 50Hz magnetic fields causes a significant weakening of antioxidant defence systems in aged rat brain

掲載誌: Int J Biochem Cell Biol 2008; 40 (12): 2762-2770

この研究は、超低周波磁界(ELF-MF)による酸化促進作用が広く見られるという仮説のもと、このような酸化促進作用への感受性上昇に老化プロセスが関与するか否かを調べた。メスのSprague-Dawleyラットに50 Hz正弦波の0.1 mTの磁界に10日間の連続ばく露を与え、ばく露により生じる主要な抗酸化保護システムおよび神経栄養サポートにおける変化を、ラットの年齢の関数として調べた。神経細胞酸化損傷に対する感受性が高い大脳皮質で全ての分析を行った。その結果、若齢および老齢のラットのどちらにおいても、ELF-MFばく露は抗酸化能力に有意に影響することが示されたが、両者での影響の方向は反対であった;若齢ラットでは、ELF-MFによる酸素ラジカル種の増加に対抗して、神経栄養シグナル伝達および抗酸化酵素による防御が増強した;対照的に、老齢ラットでは、ELF-MFばく露に反応した防御力増加は起こらず、逆に、主要な抗酸化酵素活性有意な低下を起こした、と報告している。

研究目的(著者による)

超低周波磁界が介在する酸化促進ストレスに対する感受性を、加齢プロセスが高め得るかどうかを調べるため、慢性ばく露後の抗酸化防御系及び神経栄養支援(神経成長因子に関する遺伝子発現及びタンパク質発現)の違いをラットの脳で調査した。

詳細情報

3月齢の雌ラット(n=20)及び19月齢の雌ラット(n=20)を無作為にばく露群及び偽ばく露群に割り当てた。磁束密度(0.1mT)は、欧州委員会の勧告(1999/519/EC)における一般公衆のばく露についての参考レベルである。実験を異なるラットコロニーで3回実施した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 10 days

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 10 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 pair of Helmholtz coils with a radius of 630 mm each, distance between coils = 700 mm, animals placed in plastic cages in the center of the coil system
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 0.1 mT - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

結果は、超低周波磁界へのばく露は若齢及び高齢のラットのどちらの抗酸化酵素活性にも有意に影響するが、その方向は逆であることを示した。ばく露した若齢ラットでは神経栄養シグナル伝達及び抗酸化酵素防御が強化された。恒例のラットでは、全ての主要な抗酸化酵素活性が有意に低下した。餌の摂取量及び体重はばく露に影響されなかった。

データは、超低周波磁界へのばく露は、加齢に関連した酸化ストレスに基づく神経系の病理の発生に対するリスク因子として作用し得ることを示唆しているようである。

研究の種別:

研究助成

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