研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[携帯電話使用と脳腫瘍及びその他のがんのリスク:前向き研究] epidem.

Mobile phone use and risk of brain neoplasms and other cancers: prospective study.

掲載誌: Int J Epidemiol 2013; 42 (3): 792-802

この研究は、英国の中年女性(791,710人)の前向きコホート“女性100万人調査”を用いて、携帯電話使用と頭蓋中枢神経系(CNS)腫瘍およびその他のがんとの関連を調査した。Cox回帰モデルで相対リスクRR)を計算した。参加者は1999-2005年に携帯電話使用状況を回答した(ベースライン調査)。また、2009年に、回答者の一部を対象に使用状況のフォローアップを実施し、使用者についてはベースライン調査との一貫性を概ね確認した(但し、ベースラインで非使用と回答した人の約半数が使用者に変わっていた)。結果として、7年間のフォローアップ期間中に51680例の浸潤がんと1261例の頭蓋内CNS腫瘍が発生した;ベースライン調査での「使用者」群と「非使用者」群での発生を比較した相対リスクは、全頭蓋腫瘍RR=1.01, 95% CI=0.90-1.14, P=0.82)およびCNS腫瘍の特定のタイプ、頭蓋内以外の18部位のがんで上昇を示さなかった;「10年以上の使用者」群において、神経膠腫RR=0.78, 95% CI=0.55-1.10, P=0.16)または髄膜腫RR=1.10, 95% CI=0.66-1.84, P=0.71)に関連は見られなかった;一方、「10年以上の使用者」群において聴神経鞘腫リスク上昇が見られ(RR=2.46, 95% CI=1.07-5.64, P=0.03)、使用期間と共にリスク上昇が大きくなった(傾向性の検定P=0.03)ものの、この期間の全国での発症率には上昇は見られなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

携帯電話使用と頭蓋中枢神経系腫瘍及びその他のがん発生率との関連を、英国における前向きコホート研究で調査した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (相対リスク(RR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 携帯電話使用:経験なし
集団 2 携帯電話使用:経験あり
集団 3 携帯電話使用:日常的
集団 4 使用期間: ≥ 10年

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 1,300,000
適格者 791,710
統計学的分析方法:

結論(著者による)

7年間のフォローアップ中、791710人の中年女性に、侵襲性のがん51680例、非侵襲性のCNS腫瘍562例が生じた。
携帯電話を使用したことがない女性と比較した、使用したことがある女性では、頭蓋内のCNS腫瘍全体(RR 1.01, CI 0.90-1.14)特定のCNS腫瘍、及びその他の18の特定部位のがんについて、リスクは上昇していなかった。長期ユーザーでは使用したことがない人々と比較して、神経膠腫(≥ 10年:RR 0.78、0.55-1.10)または髄膜腫(≥ 10年:RR 1.10、CI 0.66-1.84)についての明らかな関連はなかった。聴神経鞘腫については、長期ユーザーでは使用したことがない人々と比較してリスクが高く(≥ 10年:RR 2.46、CI 1.07-5.64)、そのリスクは使用期間とともに上昇した(ユーザー間の傾向、P 0.03)。国の発生率データは、イングランドにおける1998-2008年の20-79歳の男女いずれにおいても、聴神経鞘腫発生率の全体的な上昇はないことを示した。

著者らは、この大規模前向き研究では、携帯電話使用は神経膠腫髄膜腫またはCNS以外のがんと関連していなかった、と結論付けた。

研究助成

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