研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ビタミンCは携帯電話基地局の無線周波の電磁波へのばく露で生じる酸化ストレスからラットの脳と小脳を防御する] med./bio.

Vitamin C protects rat cerebellum and encephalon from oxidative stress following exposure to radiofrequency wave generated by a BTS antenna model

掲載誌: Toxicol Mech Methods 2014; 24 (5): 347-352

この研究は、無線周波の電磁波(RFW)が脳および小脳誘導する酸化ストレスの評価とそれに対するビタミンCの防御効果をラット(32匹の成獣雄SDラット)で実験した。影響評価項目は、組織グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、 カタラーゼ(CAT)、マロンジアルデヒド(MDA)である。ビタミンC投与の有無とRFWばく露の有無を組み合わせた4群(各群8匹)で45日間実験した後、組織標本酵素活性を測定した。その結果、RFWばく露群では、対照群に比べ、抗酸化酵素の活性が低下し、MDAが上昇した;RFW+ビタミンC投与群では、RFWばく露群に比べ、抗酸化酵素の活性が改善し、MDAが低下した、と報告した。

研究目的(著者による)

ラット精巣での酸化ストレスに対する900MHz電磁界の影響と、これに対するビタミンCの保護効果を調べること。

詳細情報

(EMF-Portalによる注記:この論文で用いられている "encephalon(脳)"は、恐らく大脳のことを意味すると思われる(小脳は別に調べられているため)。

ラットを4群に分けた (各群n=8): 1) RFばく露群:電磁界ばく露と毎日の擬似投与 (経口、蒸留水), 2) RFばく露 + ビタミンC群:電磁界ばく露と毎日のビタミンC投与 (経口、200 mg/kg 体重), 3) ビタミンC群: RF擬似ばく露と毎日のビタミンC投与、 4) 擬似ばく露群: RF擬似ばく露と毎日の擬似投与。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 900 MHz
ばく露時間: continuous for 4 h/day for 45 days

ばく露1

主たる特性
周波数 900 MHz
タイプ
  • electromagnetic field
ばく露時間 continuous for 4 h/day for 45 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
Distance between exposed object and exposure source 5 m
チャンバの詳細 cage
ばく露装置の詳細 8 animals per cage
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電力密度 0.6789 mW/cm² - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

ばく露群(第1グループ)の小脳および"脳"では、他群に比べ、スーパーオキシドジスムターゼグルタチオンペロキシダーゼおよびカタラーゼ酵素活性が有意に低下し、脂質過酸化が有意に増加した。

RFばく露+ビタミンC群、ビタミンC群と擬似ばく露群の間に有意差は何も無かった。

著者は結論として、「ラットの900 MHz電磁界ばく露は、精巣酸化ストレス誘導する可能性があり、ビタミンCは抗酸化酵素活性を高め、脂質過酸化を減少させる可能性がある」と述べている。

研究の種別:

研究助成

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