研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ラットの脳内のカスパーゼ活性及び酸化ストレスの値に対する超低周波磁界の影響] med./bio.

Effects of extremely low-frequency magnetic field on caspase activities and oxidative stress values in rat brain.

掲載誌: Biol Trace Elem Res 2010; 138 (1-3): 238-249

この研究は、ラットの脳のアポトーシス酸化ストレス値に対する超低周波磁界(ELF-MF)の影響を調べた。ラットは、100または500 μTのELF-MFへの1日2時間のばく露を10か月間受けた。切断型(活性化)カスパーゼ-3を検出するために脳組織免疫組織化学的に染色し、半定量的スコアリングシステムによってアポトーシス指数を測定した。さらに、カタラーゼ(CAT)、マロンジアルデヒドMDA)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、総抗酸化能(TAC)、総酸化状態(TOS)、および酸化ストレス指数(OSI)のレベルを測定した。その結果、アポトーシスの最終的スコアおよびMPO活性には、2つのばく露群および擬似ばく露対照群の各群間で有意差がなかった;CAT活性は2つのばく露群で有意に低下したが、TACはELF-100 μT群および擬似ばく露群に比べ、ELF-500 μT群で有意に低かった;MDA、TOS、およびOSIの値は、ELF-100 μT群および擬似ばく露群に比べ、ELF-500 μT群で有意に高かった;以上の知見は、長期のELF MFばく露は、アポトーシスに変化を起こさなかったが、酸化ストレス増加と抗酸化防御システム減弱を生じさせ、ラットの脳に毒性作用を誘発することが示された、と報告している。

研究目的(著者による)

ラットの脳内のアポトーシス及び酸化ストレスの値に対する、一般環境及び職業的な磁界ばく露限度値である、100µT及び500µTの超低周波磁界の影響を調べること(各群n=10)。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 2 hr/day, 7 days/week, for 10 months

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 2 hr/day, 7 days/week, for 10 months
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 pair of Helmholtz coils with a diameter of 25 cm made of 225 turns of soft copper wire with a diameter of 1 mm; coils placed horizontally facing each other; Plexiglas cage with rat positioned within the Helmholtz coil system inside a 130 cm x 65 cm x 80 cm Faraday cage
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 100 µT - 測定値 - limit for public exposure
磁束密度 500 µT - 測定値 - limit for occupational exposure

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

各群のアポトーシス及びミエロペルオキシダーゼ酵素活性には有意差はなかった。カタラーゼ酵素活性はどちらのばく露群でも低下したが、総抗酸化能は100µTばく露群及び偽ばく露群よりも500µTばく露群で低かった。マロンジアルデヒド、総オキシダント状態、酸化ストレス指数の値は、100µTばく露群及び偽ばく露群よりも500µTばく露群で高かった。

著者らは、超低周波磁界への長期ばく露によってアポトーシスは変化しなかったが、100µT及び500µT超低周波磁界への長期ばく露は、酸化ストレスを増加させ、抗酸化防御系を弱めることで、ラットの脳に毒性影響を生じた、と結論付けている。

研究の種別:

研究助成

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