研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[マレーシアのクラング・ヴァレーの子どもにおける環境要因と急性白血病の発生との関連についての症例対照研究] epidem.

A case-control study on the association between environmental factors and the occurrence of acute leukemia among children in Klang Valley, Malaysia

掲載誌: Asian Pac J Cancer Prev 2008; 9 (4): 649-652

【背景】マレーシアでは、15歳未満の子供のがんでは急性白血病が最も多い。そこで、マレーシア国立大学病院(HUKM)とクアラルンプール総合病院(GHKL)で治療を受けたマレーシア、クラングバレー(クアラルンプール首都圏地域)の症例について症例対照研究を行った。この研究の主目的は、急性白血病発症と環境要因の関係性を見出すことだった。【方法】症例群は、2001年1月1日~2007年5月30日の期間に、HUKMやGHKLで急性白血病診断された15歳未満の子供だった。また対照群は、これらの病院で非がん性急性疾患診断された同じく15歳未満の子供だった。合計128人の症例群と128人の対照群がこの研究に登録された。これらの被験者の情報は、体系的質問表とグローバル・ポジショニング・システム(GPS)装置を使って集められた。すべての要因は不適合ロジスティック回帰を使って分析された。【結果】分析では、子供の急性白血病発症は次の要因に強く影響されることが示された。・ 一家の収入[オッズ比(OR):0.19、95%信頼区間(CI):0.09-0.42]、・ 社会的な交友範囲が広い父親(OR:7.61、95%CI:3.78-15.35)、・ 姉、兄の数(OR:0.36、95%CI:0.18-0.77)、・ 父親の喫煙(OR:2.78、95%CI:1.49-5.16)、・ 自宅から送電線までの距離(OR:2.30、95%CI:1.18-4.49)。【結論】いくつかの社会経済的要因、人口統計的要因、環境要因が、マレーシア、クラングバレーの子供における急性白血病発症の強い予測因子であることが示された。環境要因に関しては、これからの住宅は送電線から200m以上離れた場所に建てられることが望ましいと言える。

研究の目的(著者による)

環境及び社会人口統計学的要因と小児の急性白血病の発生との関連を調査するため、マレーシアにおいて症例対照研究を実施した。住居から電力線までの距離が、調査された環境要因の1つであった。

詳細情報

本研究では、更なる環境要因(例:ガソリンスタンドまたは幹線道路までの距離)ならびに社会人口統計学的要因(例:親の教育、世帯収入、兄弟姉妹の数、親の年齢、父親の喫煙、保育園への登園)を調査した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 住居から電力線までの距離: ≥ 200 m
集団 2 住居から電力線までの距離: < 200 m

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
参加者 128 128
統計学的分析方法:

結論(著者による)

電力線まで200m未満の距離に住む子供について、小児の急性白血病の発生についての有意なリスク上昇が認められた。

研究助成

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