研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[小児がんと電力線への住居の近接度] epidem.

Childhood cancer and residential proximity to power lines.

掲載誌: Br J Cancer 2000; 83 (11): 1573-1580

この研究は、英国小児がん研究(イングランド、スコットランド、ウェールズの全域を対象とした集団ベース症例対照研究電力周波磁界測定値と悪性腫瘍リスクとの関連を見出さなかった)の追加調査として、症例3380m対照3390について、住宅の電力設備への接近度(高圧線、地下ケーブル、変電所、配電線までの距離)のデータを収集し、リスクとの関連を分析した。これら電力設備からの磁界ばく露は、距離、負荷およびその他の回路情報に用いて計算された。その結果、電力設備への接近度またはそれらから発生する磁界レベルのどちらについても、小児白血病または他のがんリスク増加との関連を示す証拠は得られなかった、と報告している。ちなみに、架空送電線からの距離50 m以内の住居についてのオッズ比は、急性リンパ芽球性白血病が0.73(95%CI = 0.42-1.26)、全白血病が0.75(95%CI = 0.45-1.25)、中枢神経系腫瘍が1.08(95%CI = 0.56-2.09)、すべての悪性腫瘍が0.92(95%CI = 0.64-1.34)であった。磁界ばく露計算値0.2 μT以上の群を、ばく露の参照群(<0.1 μT)と比較したオッズ比は、急性リンパ芽球性白血病が0.51 (95% CI = 0.11–2.33)、全白血病が0.41 (95% CI = 0.09–1.87)、中枢神経系腫瘍が0.48 (95% CI =0.06–3.76)、すべての悪性腫瘍が0.62 (95% CI = 0.24–1.61)であった。

研究の目的(著者による)

英国における人口集団ベースの症例対照研究で、小児がん電力線への住居の近接度との関連を調査した。

詳細情報

本研究は、小児がんの潜在的原因についての五つの仮説を検証した、英国小児がん研究(UKCCS)の電磁界のパートである。
診断の一年前に子どもが住んでいた住居での磁界の測定値に基づく結果は、publication 4451に発表されている。本研究では、全ての症例及び対照を含めるため、住居から電力供給設備までの距離を用いて磁界ばく露を計算した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 近くに設備なし
集団 2 80m以内に11及び20kV線
集団 3 80m以内に33kV線
集団 4 200m以内に132kV線
集団 5 400m以内に275kV線
集団 6 400m以内に400kV線
集団 7 20m以内に33kV地下ケーブル
集団 8 20m以内に132kV地下ケーブル
集団 9 20m以内に275kV地下ケーブル
集団 10 20m以内に変電所
集団 11 2m以内に低圧回路
参照集団 12 磁界ばく露:< 0.1 µT
集団 13 磁界ばく露:0.1 - < 0.2 µT
集団 14 磁界ばく露:≥ 0.2 µT
集団 15 磁界ばく露:0.2 - < 0.4 µT
集団 16 磁界ばく露:≥ 0.4 µT

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
適格者 3,938 7,629
評価可能 3,380 3,390
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

結果は、電力供給設備への住居の近接度が小児がん発症のリスク上昇と関連しているという証拠を提示していない。

研究助成

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