研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[超低周波磁界と小児の急性リンパ芽球性白血病からの生存:国際フォローアップ研究] epidem.

Extremely low-frequency magnetic fields and survival from childhood acute lymphoblastic leukemia: an international follow-up study.

掲載誌: Blood Cancer J 2012; 2: e98

この研究は、カナダ、デンマーク、ドイツ、日本、英国、米国で実施されたELF磁界ばく露小児急性リンパ芽球性白血病ALL)についての前向き調査から小児ALLの症例3074人をプールし、診断から10年間までの死亡または再発を調べた。既知の予後因子を調整し、ELF磁界ばく露カテゴリー別および0.1 μTの増分毎のハザード比(HRs)とその95%信頼区間(CI)を、全生存期間と無病生存期間について計算した。その結果、0.1 μTの増分毎のHRsは無再発生存期間で1.00(CI:0.93-1.07)、全生存期間で1.04(CI:0.97-1.11)であった。> 0.3 μTにばく露したALL症例では、無病生存期間低下はなく(HR = 0.76、CI: 0.44-1.33)、全生存期間低下もなかった(HR = 0.96; CI: 0.49-1.89)。HRsはALLのサブタイプによってもほとんど変動しなかった、と報告している。

研究の目的(著者による)

超低周波磁界へのばく露小児急性リンパ芽球性白血病からの生存との関連を調査するため、国際フォローアップ研究を開始した。このプール分析は以下で実施された研究からのデータに基づく:
カナダ(McBride他、1999)、
デンマーク(Olsen他、1993)、
ドイツ(Michaelis他、1998 )、
ニュージーランド(Dockerty他、1999)、
スウェーデン(Feychting他、1993)、
英国(英国小児がん研究グループ、1999)、
米国(Linet他、1997)、
ドイツ(Schüz他、2001)、
日本(Kabuto他、2006)、及び
米国(Foliart他、2006)。

詳細情報

先行研究(Foliart他、2006 及び Svendsen他、2007)は、超低周波磁界へのばく露に関連した小児急性リンパ芽球性白血病からの低い生存率を示し、超低周波磁界白血病細胞の成長をプロモートするという仮説を提唱した。ゆえに、疾患進行に対する超低周波磁界の影響を証明することは、生物学的なもっともらしさを直接的に支持することになる。
本研究では、生存、再発、二次的悪性新生物、または死亡についての情報を収集するため、急性リンパ芽球性白血病を有する子どもを診断から最大10年間フォローアップした。
予後リスクの指定のため、子どもを低リスク群(10歳未満で、白血球数の診断が50000/ml未満の子ども)及び高リスク群(10歳以上で、白血球数の診断が50000/ml以上の子ども)に分類した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 磁界ばく露: ≤ 0.1 µT
集団 2 磁界ばく露: 0.1 - 0.2 µT
集団 3 磁界ばく露: 0.2 - 0.3 µT
集団 4 磁界ばく露: > 0.3 µT

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 3,073
統計学的分析方法:

結論(著者による)

急性リンパ芽球性の子どもの大半(88%)は ≤ 0.1µTの超低周波磁界ばく露されていた。この比率は、デンマークでの99%から米国の研究の1つでの69%まで、国によって様々であった。68人(2%)の症例が > 0.3µTの高ばく露群で、大多数(n=42)は米国の2つの研究に由来していた。

8か国で急性リンパ芽球性白血病診断された3000人超の子どもについてのこの大規模プール分析では、超低周波磁界へのばく露と、急性リンパ芽球性白血病無再発生存率または全体的な生存率との統計的に有意な関連は認められなかった。著者らは、超低周波磁界へのばく露は、急性リンパ芽球性白血病の子どもの生存確率または再発のリスクにインパクトを及ぼさない、と結論付けている。

研究助成

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